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13 王子様ってえらいの?食べれるの?

ブックマークありがとうございます!

ものすごくうれしいです(〃ω〃)


見ていただきありがとうございます!

アリスティールはそこまで汚れていなかったのと、髪が乾かなさそうだったので、着替えをして応接室でお茶の用意をする。


シグリートが綺麗になって先に現れた。コンラートは従者らしく壁際に控えるように立った。


「ギースは来ていませんけど、お茶の時間にしましょうか?」


本来はメイドに頼むものなのだろうが、ポットやカップを湯で温め横に置いていた器に一度流す。そこに茶葉を入れ蒸らす。アリスティールは自分の手でお茶を入れ、シグリートに出した。


焼いたクッキーも、着替えの際に自分の部屋に持っていった。さらに、自分でここまで運んできたものだ。他人を信用していないわけではないが、不特定多数の人が出入りする厨房だと、毒物等混入やすり替えが容易すぎるからだ。


お土産用はチェストの上で覚まして、水分が抜けるのを待っていた。


「ここは不思議に食べ物が旨いな」


シグリートはクッキーをかじり、お茶を飲む。


「クッキーは焼きたてですし、お茶は今王都で人気のものにしてますからね。」

「うん、旨い。令嬢は地味で変わってて偉そうだが。」


日本でちらっと聞いた方法だが、子供の好き嫌いを治す方法に、自分で料理して食べてもらうというのがあった。事情は違うが、少しでも食べることへの抵抗が減ったなら良かった。


良かったが、何故この王子は喧嘩を売るのが好きなんだろう?そして、アリスティールもその喧嘩を買うことにした。


「どうして、普通の会話ができないんですか?そういうひょろひょろ王子も偉そうですよね。」

「それはもちろん、僕は王子だからな。」

「王子だから、なんで偉いんですか?」

「王の息子だからな!」

「シグリート様は別に王様になるわけじゃないのに、王の息子だからって、何故そんな偉そうなんですか?」

「僕だって、王になる可能性はゼロじゃない。」


シグリートはその先を飲み込んだ。


「最初に国を作って、その血を受け継いだものが王になると決まっている。ここはそういう契約なんだ。」

「ここはそういう世界でしたね。忘れてました。」


契約に非常に重きを置かれるだけに、元いた日本のある地球のように、単純な革命や王朝交代は難しいのかもしれない。土地に対し契約があると何か聞いた気がする。


血筋だけでえらそうになって、バカが量産されそうだが。


「ただね、王にはラインハルト兄上がなると思う。母君である白百合(エリザベート)様は強大なライトニッツァ十公家の出身で、王になればかの国とさらに友好関係が強まると言われている。」


母上もそう言っていて、兄上をお支えするようによく言われるんだ、と付け加えた。


「兄上自身も陽だまりみたいな優しい人だから、僕もできるだけ支えたいと思っているしな。」


何故か、頭の中に陽だまりで寝ている猫が連想された。陽だまりのような人がなる王様が想像できない。なんかぼーっとしてそうなイメージだ。


「そうだ、アリスティール嬢に聞きたかったんだが、あの時何故泣いたんだ?」

「あの時?」

「僕がこの館に来て、へ、へ・・・・・あの巨大でにょろにょろしたものに丸飲みされそうにになって昏倒した時だ。」


そんな事実はない、と突っ込みそうになったが、止めておいた。シグリートにはヘビにトラウマでもできたのだろうか、名前も呼べないし、ヘビの大きさが現実より超巨大になっている。


「実は私にもよくわかりません、気づいたら涙が出てたので。多分死にかけてて可哀想だと思ったくらいの話な気もします。」

「なら、何故あの時僕をこの館に留めたんだ?王宮から迎えに来てもらうだけにすれば、アリスティール嬢が罪になるようならことはなかったと思う。ギースはちょっと分からないが。」


「ああ、それなら、なんとなくですが言えます。」


アリスティールはシグリートをまっすぐに見る。


「私は昔誰かのヒーローになりたかったんです。」


自分が誰かに無条件に愛されるヒロインになるのは、憧れはあったが、想像できないくらいなれる気がしなかった。


「誰かを救えば、その誰かが自分の事を認めてくれて、自分が生きていていいと許される気がする。ここ最近の私は昔感じてたようなその思いがすごく強かったんです。だから、私はギースやシグリート様を救う機会を、自分の心の救いに使ったんです。」


ここではない日本という国にいた、水越綾の少女時代の思い。そして、ここにいたアリスティールという少女を、ほぼ消してしまった自分の罪悪感。


失敗してギースやシグリートが死ぬことになるなら、自分が消されてもいいくらいに。あの時一緒に死にますと言ったのは、全部が脅しのための詭弁ではなかった。


「自分ががんばった結果、シグリート様とギース二人が助かった。おかげで、大分自分を肯定できるようになった気がします。」


自分がここにいる意味が、本当にあるんじゃないかと。


シグリートはそうか、と深くうなずいた。


「随分性格が悪くて、傍若無人な性格だと思っていたが、アリスティール嬢も自分のことで悩んだりするんだな。人は見かけによらないものだ。」

「シグリート様は性格云々の前に、言葉の使い方を学んだ方が良さそうですね。」






「ただいまー!!あ、もうお茶始まってるー」


アリスティールとシグリートが険悪な雰囲気に戻りそうだったタイミングで、風呂上がりのギースが元気よく入ってきた。


ギースにお茶を入れるため、再度お湯をもらうため席を立つアリスティール。すれ違いざま、ギースはアリスティールに小声でにささやいた。


「そういえば、ちゃんとお礼言ってなかった。アリス助けてくれてありがとう。」


ギースは何の話とも言わない、アリスティールも聞かない。扉の外でギースは聞いていて、話が切れたタイミングで入ってきたのだろう。


「いえいえ、気にしないで、子分は親分を助けるものでしょう?」


アリスティールも笑ってささやいた。



スマホで書いているせいで、スマホでは見やすい改行になってます。ただ、案外パソコンで見にくかったりしたので、改行は試行錯誤予定です。

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