第13話 勇者の聖域
少しだけお話が進みますわ〜
ワクワクすっぞ!
その後美味しい丸パンや、何でできているのかよくわからない透明なスープに、ジャガイモのようにホクホクホロホロと崩れるイモコと呼ばれる物を食し、お腹がいっぱいになったところで、ようやく今日起こったことについての話し合いが始まり、青髪騎士カインが言った。
「リリア姫様、おそらくですが国王様はアストレア大国魔王城へと向かったと思われますがどうなされますか?」
「そうね……お父様の事だし死にはしないわ、とりあえず放置でいいわよ、それにお父様だって危機を感じればさすがに撤退する筈よ」
俺は口をポカンとあけひろげその話をぼっ〜と聞いている。 国王様何者だよとか、いつの間に進軍してんだよとか、そんな事を心の中で思いながら俺は聞いている。
「おいクソ女神、この国の国王様って強いのか?」
「クソ女神って言うなゴミクズニート! 強い事は確かだけどあの金髪姫程ではないと思うわ。 魔王と戦っても勝てないでしょうけどね恐らく」
クソ女神いわく王様の実力は魔王と同等か、それ以下と言っているのに、リリア姫の他人事ぶりには少し驚いてしまう。 親が死んでしまってもいいのか?と思ってしまう。もしくは放置してもいいほどに信頼できる程の強さだから、放置しているのかと少しばかり疑問に思った。
疑問に思いながらも、この話し合いの無意味さに俺は大きなため息と、申し訳ない気持ちが湧いて来ていた。 どうせ真剣に話し合ったところで冒険に出る事が先程内緒で決まったのだから、リリア姫と俺にとってこの話し合い自体はさほど意味を持たないのだ。無駄な話である本当に。
そして俺はそんな無駄話をしている青髪騎士カインの事を、俺は少し気の毒に思いながら、何も考えずに座っている。
すると青髪騎士カインが椅子から立ち上がって、俺の目の前までやってき、腰のあたりを確認してから少し驚いた顔をして言った。
「アリエル様は勇器をお持ちではないのですか?」
俺は、ん?っと少しよくわからないな、と思いながら質問する。
「何ですか??そのリディア?って奴は?」
「それはですね、」
青髪騎士カインが話そうとした瞬間、合間に割り込んでリリア姫が楽しそうに言った。
「勇器って言うのはね、勇者のみが扱える道具なのよ、勇者の聖域にある透明な石コロ?神晶リディアに触れて選ばれれば勝手に目の前に現れるわ、因みに言っておくけど私の勇器は腰についているわ、見えないと思うけどね♡」
確かにリリア姫の言う通り、腰回りには何も付いているようには見えなかったが、何か神聖な感じが伝わってくるのがわかった。 きっとその神聖な感じは、絶対領域から発せられているのだろうと、とてもくだらないことを思いながら俺は眺めていると、青髪騎士カインが、俺に問う。
「アリエル様はまさかとは思いますが、戦闘経験は皆無なのでしょうか?」
青髪騎士カインにそう尋ねられると俺は、小さい頃近所のクソガキを中学3年生の時に容赦なくボコった、どクズエピソードを思い出していた。
まぁーあれは向こうが悪かったのだが、大人気ない事をしたのは事実である。
とてもどうでもいいエピソードではあるが、この事から分かるように俺は、一度たりとも戦いという戦いをした事がない。
「一回も無いですよ?えっ、知らなかったんですか?」
そして俺の返答に青髪騎士カインは一瞬驚いた表情をしたが、直ぐに冷静なイケメンの顔に戻して言った。
「そうですか……リリア姫様、アリエル様を至急勇者の聖域にお連れしてもよろしいでしょうか?」
「当然よカイン、私は最初からそのつもりでいたわ。
予言の勇者といえど、勇者の聖域に認められなければ本物とは呼べないしね」
二人がそう言うと再び広い広いお城の中を、青髪騎士カインの後ろにひっつきながら付いて行くと、何故かどう見ても行き止まりの壁の前で止まり、回復したばかりの魔力を大量に注ぎ込んだ。 すると壁は消え地下へと向かう階段が出現し思わず素の声が出てしまった。
「何だよこれ、すげぇー、てか底が見えないくらい長い階段とか初めて見るんだけど」
青髪騎士カインが少しニヤリとした顔で言った。
「アリエル様の目にはそのように映っているのですね、それとですがここから先はお一人で行ってください、一応この場は勇者の試練でもあるので」
何か含みのある言い方だったが、気にしなかった。 どうせ青髪騎士カインとリリア姫には別の空間に見えているのだろうと、察することが今の一言から簡単に読み取れる。俺はゴミクズではあるが、バカではないのだ。 今俺は心の中でこんな事を思っている。
「試練とか、くそだりぃ〜〜〜〜やりたくねーよ」
勿論俺は嫌々だったが、それを悟られないようにし奈落の底に繋がる階段の1段目に立って、ため息混じりに小声が漏れる。
「はぁー、しゃーねな、行くか」
そして俺は奈落の底へと続く階段の一番上に、スタートラインと呼ぶべき場所に立ったのだった。
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