第1話 ケーキ屋から出るとそこは異世界で、早速死んだかもです。
どうも最新作であります。
ゴミクズニートはこれから先どうなるのやら。
立派な勇者には……なれんよねw
真っ暗な部屋にジメジメとする空気、部屋に散らばるゴミからは異臭がする。
そんな部屋で暮らしている、親の脛をかじりながらワガママ言い放題に暮らしている俺は本物のゴミクズニートである。
お金がなくなれば親にお小遣いを要求し、貰えなければ生活費からお金を盗み取るようなクズだ。
町に出かけると少女やら女子高生やら綺麗なお姉さんの絶対領域をガン見するほどのクズだ。
まさに歩くゴミ、社会のゴミである。
父と母が愛し合って、この世に産まれた産業廃棄物。
そんなゴミクズニートな俺は珍しく、今日は部屋の片づけをしている。
何でそんなことをしているのかというと、今日は自分が推しているキャラクターの誕生日なのだ。
だから珍しく部屋の掃除をして、机の上には推しキャラのフィギュアを飾り、ベッドの上には少しエッチな抱き枕に、可愛らしいヌイグルミを置いてふと思い出した。 彼女の誕生日だというのに、肝心なケーキを買ってくる事を忘れていたのだ。 何という失態だ、これでは彼女に顔向けができないでは無いか。
そして俺はとても重い、とても開けずらい扉をゆっくりと音がならないように開け、抜き足、差し足、忍び足の順序でゆっくりと廊下を進んだ。
「さて……今日はどうやってお金を盗もうか」
まさにクズ、クズの中のクズだ。クズの鏡、クズの化身だ。
そして今日彼は親に頼んでお金を恵んでもらう行為は行わずに、 お金の隠し場所を変えない無脳なゴミクズニートの両親のおかげなのか、いとも簡単にタンスの奥からお金を抜き出し、それを無造作にポッケの中に詰め込み言った。
「アッアァ〜たまんねーわ……脳汁ヤベェ」
彼の脳は窃盗をして、成功した事によって快感を得ていた。 本当にどうしようもない、救いようの無い産業廃棄物、産まれ直して来て欲しいと僕は思っている。
「ん?僕とは?って聞きたそうな顔をしているようだけど、名乗るほどの者じゃ無いよ?だから僕は名乗らない」
そしてゴミクズニート事、降魔 優はがちゃりとドアを開け、ウキウキルンルンで走り出した。
側から見るととても気持ち悪く、口呼吸で苦しげにハァハァート走りながらヨダレを垂らしている、何処か頭を打って狂ってしまった狂信者なのでは?と思わせる形相で、とても可愛らしいケーキ屋さんに入り、首をカタカタと揺らしながら目を開け広げて指差しで、一言言った。
「これください」
そんな彼の表情を見た20代前半程の可愛らしい店員さんは、嫌な顔一つせず天使のような、神様のような笑顔で言った。
「はい、かしこまりました!こちら……のフルーツ……種盛りのケーキ1ホールですね、料金は貴方の……です」
美しく、神々しいオーラを放つ店員さんに目を開けひろげて聞き返す。
「今なんて言いました?」
「料金は6666円です」
「なんだ、俺の聞き間違いか……」
そして彼は支払いを済ませ、ウキウキと彼女(2次元嫁)の為に、店を出ようとすると幼い店員さんが一言言った。
「いってらっしゃいませ、……様」
最後の言葉はドアを開け聞いていなかった。彼の頭の中は嫁のことでいっぱいだったので、いってらっしゃいませという言葉に何も疑問を持たずにドアを開けてしまった。
そしてケーキ屋から出た彼は、目の前に広がる光景に首を傾ける、頭の上にはてなマークをおきながら。
「ん?????」
彼の目に移っていた光景はまるで別の世界だ。
本来であれば、目の前には道路や車が走っている筈だというのに、目の前は噴水に賑やかな市場、それに加えて街並みがファンタジー小説に出てくる様な雰囲気である。
それに人種も様々で、頭にのてっぺんに角を生やしている者や、ケモミミ娘、ゴリゴリの獣人、ローブをまとい手には杖を持っている者、普通の人間に、騎士のような格好をした人に、首輪をつけている物や、その他にも色々な奴らがいた。
そして目をこすってその光景が、夢、幻では無いかを確かめる。 自分の腹を殴って確かめる。
「グフッ……痛いな」
鈍い痛みが腹部にはしり、疑いは確信に変わったのだった。
「異世界に……きたのか!」
ゴミクズニートの目からは涙が出て来ていた、異世界に来た事の喜び? いや違うようだ。 彼は嘆いている……何故?
そんなのわ聞かなくともわかりきってるはずです。彼はニートなのだから……普通なら泣いて喜ぶ場面であってもブレないのだ。むしろ異世界に来た事により、ニートを辞めなくてはならない、働かなくてはならない……だから彼は泣いていた。
そしてそんなニートオブニートなゴミクズの頭の中に直接何者かが話しかけてきた。
聞き覚えのある声だ、今さっき聞いたかの様な幼女の声が聞こえる。
「…………おい、……ご…………ごみ…………」
所々音が切れていてほとんど聞こえなかったが、幼女に罵倒されている事は何となく伝わって来たので、とりあえず俺は言い返した。
「黙れロリ野郎、お兄さんを怒らすと怖いんだぞ?」
そして次の返答でようやくまともに聞こえてきた。
「誰がロリガキですって? 女神アリエル様に向かってそんな口聞いても良いのかしら? 二次元キャラの為にケーキを1ホール買いに来るキモオタゴミクズニートの癖に、わたしに逆らうつもりかしら? てかそんな事言うんだったら助けてあげないわよ?ニートくん」
「俺を脅してるのか?何も出来ないひ弱な人間を異世界に連れてきて……助け無いっていうのか? もし助け無いんだったらお前は女神じゃーねーな、悪魔だな」
女神アリエルは彼のその言い返しに、少し慌てながら答える。
「あ、悪魔なんかと一緒にするんじゃないわよ!
あんな奴と同列にするなんて……本当に助け無いわよ?
今すぐ謝りなさいゴミクズニート」
そして俺は渋々誤った……とても嫌そうな心の声で。
「はい、僕が悪かったです……見捨て無いでくださいあく……あっ間違えた女神アリエル様」
「何かちょっとムカつくけど、心のヒローーイめ!が!み!様だから許してあげるわ、とりあえず人目の少ないとこに移動してくれるかしら?じゃないとあなた死ぬわよ?」
そんな女神様の言葉が今まさに現実になろうとしているようだ。 脳内ロリボイスと会話していたせいで周りが見えなくなってしまっていた俺は、どうやら姫様の怒りを買ってしまったようだ。
話しかけられているにもかかわらず、とても偉い人の問いかけをひたすら無視していたようだ。
目の前には青い髪のイケメン騎士が立っており、手には鞘から引き抜かれた剣がもたれている。そしてその剣を構え、こちらを睨みながらいった。
「姫様への無礼今すぐに詫びるのなら、斬首系で許してやる」
謝ってもどうせ殺されるならば俺は謝らずに、トンズラこいて生存確率が高い方をとりあえず選んだ。
すると青い髪のイケメン騎士は何やらブツクサと唱えているようだが、俺はそんな事気にもせずに背を向けて逃げる。 死な無い為に逃げる。だが次の瞬間俺は腹部に熱い液体を感じていた。 真っ赤で暖かい液体が流れ出る。そして俺は悟ってしまった。
「はぁー訳の分からないままに異世界に来て、早速死ぬのか……まぁー今まで本当にクズみたいな事しかしてこなかったしな、死んで当然か……そうだ最後に買ったケーキでも食べよう」
そして彼はケーキを口いっぱいに詰め込み、白目を剥き体をビクビクと震わせ血をドピュドピュと吹き出しながら、泣きながら意識を失ったのだった。
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