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女に生まれた意味  作者: 柊李
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1話 変わらない日々の中で

朝起きる。

顔を洗って、化粧で今日も仮面をかぶり、服はだいたい決まった中から適当に組み合わせて、かばんの中身をチェックする。

最近ショートカットにした髪は手櫛で整えるだけ。その日の天気と気分で靴を選んでスマホと鍵を片手に家を出る。

駅までの道をボーッと歩いて電車に乗ったら降りるまでに今日の仕事を脳内シュミレーション。

電車を降りて職場までの道を日によって違う妄想で現実逃避をしながら歩く。

妄想する素敵な展開が現実に起こるはずもなく、いつも通り職場に到着していつも通りの1日が始まる。

いつも通りと言ってもまぁ少しの変化はあるわけで、それがいい変化だったり悪い変化だったり。

日々、疲労感とストレスが身体と心に蓄積されていく。

これって私だけじゃないよね。

だって電車にいるサラリーマンのおじさん達もたぶん同じような顔してる。

オシャレだって好きだし、キラキラ過ごしたいけどなんせ余裕が無い。

財布すら入らないのではないかという小さいブランドのバッグを肩からかけて、大きなストーンが光る長いネイルに綺麗に巻かれた長い髪。

そんなキラキラした女性を見るとどんな仕事してるんだろう、その爪でどんな仕事が出来るんだろうって皮肉っぽく考えてしまう。

左手の薬指にリングを光らせて小さい子どもを連れてる女性を見ると幸せなのか聞きたくなる。

社会人4年目、鏡を見るたび溜息をつきたくなる。

そんな毎日。


私だって社会人になるぞって時はわくわくしてた。

働き始めは大変なことも辛いこともいっぱいあったけど、それなりに充実感を得られていた。

恋もしたし、もしかしたら結婚出来ちゃうかもなんて浮かれたこともあった。

そんなに上手くいかないのが現実だし、彼が仕事で遠いところに行ってしまって遠距離恋愛が上手くいかず私から別れを切り出した。

後悔がないわけでもない。

もう少し頑張ればよかったなんて思うし、寂しくもなる。

新しい恋なんてそう簡単に訪れないし、最近はもっぱらおひとり様。

ラーメン屋も牛丼屋も1人で行けるようになってしまった。

結婚願望さえ枯れてしまったような気がする。

なんかもう、1人の方が楽なんじゃないかって。

ただの強がりなのは自分でも気付いてるんだけどね。

それでもひねくれ者な私は素直になれない。

彼氏も友達も来ない部屋は散らかりっぱなしで、片付けたい気持ちはあっても休日になるとごろごろだらだらしたくなってしまって結局そのまま。

自炊も自分のためだけに頑張る気なんて起きないから所謂ズボラ飯ばかり。

こんな自分で良いわけない。

でも抜け出せない。

女でいることさえ嫌になる。


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