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88 三人での下校

「放課後何かあるの? あ、森田もりたさんのこと?」


 今日もたぶん兄さんと一緒にいるだろうし、何か手伝ってほしいことがあるのかな?


「ひーくんのことじゃないっすよ。 今日はお二人に家に遊びに来てほしいんっすよ!」


 家に?


「それはまた突然だね。 何かあるの?」


「何かあるとかじゃなく、友達を家にあげるって一度やってみたいんっすよ」


「わかる! わかるよ、それ!! よし行こうすぐ行こう!!」


 えぇ、広葉こうようは別として、友達がいなかった私は、誰かを家に招いてみたいとそんなことを昔、結構考えていた。


 でもつぼみさんって友達いたと思うんだけど‥‥入れたことがないのかな?


「何言ってるのよ。 まだ昼休みなんだから行けるわけないでしょ! それに蔭道かげみちさんに、一つ聞きたいことがあるし」


「どうしたっすか?」


「いや、私が行ってもいいのかなって思って。 奈留なるは友達かもしれないけど、私は別に‥‥」


「全然来ていいっすよ! 友達の友達はもう友達っすよ」


 お、私には理解できないやつだ。

 まぁつぼみさんなら、なんとなくそうなんだろうなってわかるけど。

 そもそも誰にたいしてもこんな感じだし。


「それなら、いいんだけど‥‥」


「じゃあ、放課後またこの教室にいてほしいっす」


 こうして、つぼみさんの家に行くことになった。

 でもつぼみさんの家ってどんなのだろう。

 あまり想像できないな。




 ◇◆◇◆◇◆




 こうして私達は三人で下校することになったのだが、一緒の小学校なのに、今まで一回もこの三人で帰ったことがないのに気づいた。


「こうして私達、三人が一緒に下校するのって、何だか不思議な感じだね」


「まぁ仲良くならなかったら一緒になんて帰らないわよ普通」


 そうだよね。

 でもつぼみさんとちゃんと話したりしてたらもっと早く仲良くなってたかもしれない。

 まぁ好きなように生きた結果がこれなんだから、特に後悔はないけど。


「でも一緒に帰ったことあったと思うっすよ?」


 あれ? あったっけ?


「でも小学校の時に蔭道かげみちさんと接点なんてないわよ?」


 うん、少し話したことはあっても、一緒に帰るはなかったんじゃないかな?

 大体一緒だったらわかるよ。 友達少ないんだか‥‥少なくないし! いっぱいいたもん‥‥想像の中では!


「‥‥うん、私も帰った覚えはないかな?」


「そうなんっすか? あ~まだお二人が仲が悪かった頃だったからっすかね?」


 仲が悪かった頃?

 それなら、なおさらないんじゃないかな?

 嫌いな人と一緒に帰ったりはしないだろうし‥‥。


「あ、あれのこと?」


「思い出したっすか?」


 由南ゆなちゃんも知っているみたいだし、なんなんだろう‥‥。


「これは忘れても仕方ないと思うわよ。 一斉下校のことでしょ?」


 あ、あったねそんなことも。

 確か、家の方向が一緒ということと、なんか先生が仲良くさせようとして無理矢理一緒に帰ったんだったかな?


「そうそれっす! あのときは本当に勘弁してほしかったんっすから。 嫌な空気の中帰る、私のことも考えてほしかったっすよ」


「それは私もだよ。 由南ゆなちゃんずっと睨んでくるんだもん。 本当に怖かったんだから」


「む、昔のことなんだから、別に謝ったりしないからね!」


 無意識に由南ゆなちゃんの精神を攻撃していたらしい。

 由南ゆなちゃんちょっと泣きそうになってるし。


「ごめん由南ゆなちゃん、別にそういうつもりでいった訳じゃないから! 今では綺麗で可愛くて大好きだよ!」


「うんうん、今が良ければ全然問題ないっす! そう、今が良ければ!」


「それ、私のこと嫌いだったっていってるようなものだと思うけど‥‥」


 嫌いではなかったよ、ただちょっと怖かったというだけで‥‥。

 でも良いところも多かったから友達になっているわけで。


 こうしてつぼみさんの家に着くまで、由南ゆなちゃんの気分を上げるためにつぼみさんと一緒に小学校の時の由南ゆなちゃんの良かったところを言い合った。


 こうして言っていくと意外とあるものだね。

 あ、また意外とか言っちゃった!?

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