82 偶然にしては‥‥
正直、広葉は意外に頑固なところあるから、厳しいかもしれない‥‥。
まぁ今回は名前を出さずに言えば、来てくれるとは思うんだけど‥‥。
それで仲良くなるかって言われたら疑問だよね。
そう思いつつも、やっぱり一度会ってみないとわからないから、私は広葉を呼ぶことを決意した。
「うん一度、森田さんを呼んでみるよ」
◇◆◇◆◇◆
私は再度、広葉に電話をする。
『もしもし、奈留ちゃん? 二度も電話なんてどうしたの? そんなに俺のことが』
「あ、それはないです」
いつもはもう少し長く聞いているが、今は時間をかけるわけにもいかないので早めに答えさせていただきました。
『最後まで言わせて!? いや、まぁいいんだけどさ。 それで、どうかした?』
「森田さん、今から会えます?」
『いやーごめん奈留ちゃん。 俺今、親と旅行行ってるんだよね』
え? 旅行!?
「あれ? それって祖父母が行ってるんじゃなかったでしたっけ?」
『そのあと、父さんが、羨ましい‥‥よし俺たちもいこう! と行ったことによりただいま絶賛旅行中だよ』
確かに旅行行ったって聞くと、行きたいってなるけど、それにしたって早くないですか。
広葉の父親の行動力凄いな!
あ、だから朝、電話したとき予定言いたがったのか。
普通に何もないのかと思ったよ。
「そうなんですか、じゃあ楽しんで来てくださいね」
『うん、それじゃあね~』
‥‥ダメだった。
何なんだこのタイミングの悪さというかなんというか。
でも旅行だったら仕方ないよね。
「ごめん、蕾さん。 今日はダメだった」
「あはは、旅行なら仕方ないっすよ。 これは私のわがままっすから。 それに今までと違って無作為に探さなくていいってだけで十分っす。 奈留ちゃんには感謝しかないっすよ」
電話が聞こえてたみたい。
「今度絶対時間を作るから」
「うん、色々ありがとう奈留ちゃん」
何も手がかりが無かったときよりは、良かったかもしれないが、期待させといてからのこれは申し訳ないな‥‥。
はぁ、こんなことなら予定聞いておくんだった。
でも絶対に二人を会わせてみせるんだから!
◇◆◇◆◇◆
と、意気込んでいたのだが、なんとびっくり、そこから一週間なんの進展もなかった。
いや、私だって色々頑張ったんだけど、何故か二人を会うのを妨害されているかのように、全く会うことができない。
あるときは蕾さんのは大丈夫なのに、広葉が、予定があり無理。
またあるときは広葉が大丈夫だけど、蕾さんが熱がでて休むといった、なんだこのすれ違い! と思わずにはいられないことが他にも何度も続いていた。
いやまぁ実際疑問だったんですよ。
同じ小学校、中学校のはずなのに一切出会うことがなかったっていう‥‥。
つまりは、二人とも間が極端に悪い!
いや、それ以上かも。
偶然にしても酷すぎませんか?
ある意味運命だよね!
それで今、自分だけではどうにもならず、今までの出来事を信くんにも話していた。
「───というわけなんだよ。 なんだか全然会わせられないの」
「なんだか知らない間に大分進展してるね。 そもそもそのひーくんが森田さんっていう確証はまだないんだよね?」
本当に一週間進展してないんだよ。
「合ってるとは思うんだけど、まだ会ってないから、どうなんだろうってところだね」
「じゃあまず写真とか見せたらいいんじゃない?」
まぁ、考えるよね。
「うん、私もそう思って見せようとしたんだけど‥‥」
◇◆◇◆◇◆
私は蕾さんに広葉を見せようと写真を持ってきた。
フッフッフッ、この作戦が成功すれば会わずとも、ひーくんか否かわかるじゃないか。
そう思い、私は放課後、蕾さんと待ち合わせをした。
「奈留ちゃん、お待たせっす! それでひーくんの写真はどこっすか?」
「蕾さん、これ!」
私が写真を取り出した瞬間、何故か不自然な強風が吹き、写真が吹き飛んでいった。
「うわ~凄い風っすね。 吹き飛ばされそうになったっす。 えっと‥‥それでどこっすか?」
そんなことってあります!?
いやいや、あってたまるものですか!
何この強制力、私もう二人が怖いです。
しかし、諦めないのが今の私!
こんなこともあろうかと携帯に写真を‥‥‥‥あれ? つかない‥‥。
◇◆◇◆◇◆
「ということがあり、携帯壊れちゃった♪」
もちろん元の携帯のデータは吹っ飛びましたとも。
今は新しく買った携帯を使ってます。
「うん、もうそれ会わせるの無理じゃない?」
あ、信くんもそう思います?




