81 出会うこと
蕾さんに電話をして、想い人が見つかったと言ったら、大きな音が私の耳に響いた。
え!? 何? どうしたの!
電話の向こうで何が起こってるのかわからないので、蕾さんが心配になった。
「だ、大丈夫!? 蕾さん!」
すると、数秒の間隔が空き──、
「大丈夫! そ、それで、何処にいたの!? いや奈留ちゃん今から会える!?」
──といきなり慌てたような蕾さんの声が聞こえてきた。
ていうか、蕾さん、なんだかいつもと違うな。
まぁ気にしなくていっか。
「う、うん。 会えるよ。 じゃあ何処で会う?」
「奈留ちゃんの家‥‥は私知らない。 私の家‥‥も奈留ちゃん知らないだろうし‥‥。 図書館に集合で!」
小学校一緒なんだけど、どっちも知らないっていうね。
まぁ仕方がないよね。
で、図書館集合っと。
「わかった。 じゃあすぐ行くね」
「うん、ありがとう、奈留ちゃん」
そして、電話を切った私は急いで出掛ける準備を始めた。
◇◆◇◆◇◆
何度も言っているかもしれないが、最近図書館に来ることが多い。
しかも中には入らず、ただ集合の場として‥‥。
また今度本を読みに行かせていただきます!
集合場所としてじゃなくて!
私は心から誓った。
それで、私はもう図書館の前に来ているわけだが、蕾さんの姿はまだない。
まぁ極端に私の家から図書館が近いからなのだが‥‥。
少し待っていると、少し離れたところから走ってくる女の子が。
あ、蕾さんだ。
「はぁはぁ、ご、ごめんね。 待たせて」
「いや、それはいいんだけど、蕾さん大丈夫?」
すごい息切らしてるけど。
「だ、大丈夫‥‥」
あと、なんだか学校で会ったときと少し印象が違うような‥‥?
「なんかいつもと違うけど、本当に大丈夫?」
「え? あ、あぁ! 大丈夫っすよ。 じゃあちょっと座って話せる場所に行くっすよ!」
あ、戻った。
こうして私達は二人で近くのカフェに行くことになった。
◇◆◇◆◇◆
「ひーくんが森田広葉さん?」
私は単刀直入に伝えた。
「うん、今のところはまだ予想だけど。 けど色々当てはまってるんだよね」
「でもそのわかったきっかけって何なんっすか?」
「私のお兄さんの友達なんだよね、森田さんって。 それで、猫を飼ってるのを昨日知って、もしかしたらって思ったんだ」
えぇ、まぁ正確には祖父母の家でだけど‥‥。
「そういえば、お兄さんの名前って何て言うんっすか?」
え? なんで今、兄さんの名前?
「陸だけど‥‥どうかした?」
「ううん、ただの確認っす。 うん、微かに聞き覚えがあるような気がする‥‥」
蕾さん、兄さんに会ったことあるのかな?
でも会ってたら広葉にも会ってそうだけどね。
基本的には一緒にいるし。
「どうかな?」
「奈留ちゃん、その森田さんに会うことって出来るっすか?」
これで、広葉がいいよって言ってくれるかだな‥‥。




