79 瞳を閉じれば‥‥
時間も、もう遅くなり、今日は色々歩いたので私は早めに寝ることにした。
なんだか眠いしね。
「兄さん、私もう寝るね。 お休み~」
「一緒に寝なくて大丈夫か?」
真顔で何言ってんのこの兄!?
「そんなの、もうとっくにしてないでしょ。 じゃあ兄さんも早めにね」
「おう、お休み」
寝る前に猫ちゃんの頭を撫でる。
「猫ちゃんもお休み♪」
「ニャ!」
可愛い!
一緒に寝たい!
でも、自分勝手につれていくのはなんだか可哀想だし‥‥。
私は、その欲望をグッと抑えて、自分の部屋に戻った。
その後、すぐ私は自分のベッドに入り、目を瞑った。
よくあることだか、こうして横になるとたまに眠気がなくなるときがあり、今日がそれだった。
「なんだか眠くなくなった‥‥」
こういうときは、あまり眠れないことはわかっていたので、何となく考え事をすることにした。
はぁ、猫ちゃん可愛かったなぁ。
そういえば猫ちゃんの名前何て言うんだろう。
兄さんも知らないみたいだったし、また広葉に聞いてみようかな。
そういえば、猫って聞いたとき、少し引っかかったんだよなぁ。
なんだろう‥‥。
‥‥あ! 蕾さんの好きな人!!
猫飼ってるって言ってたな。
でも広葉の家が猫飼ってる訳じゃないし‥‥。
そもそもひーくんって呼ばれることないんじゃないかな?
けど‥‥なんだか少し引っかかる。
私は気になって、ベットから飛び出した。
◇◆◇◆◇◆
「兄さん!」
私は兄さんの部屋の扉を勢いよく開けた。
「うぉ! どうした奈留? 奈留がノックしないで入ってくるなんて珍しいな。 そんなにお兄ちゃんに会いたかったのか?」
いやいや、兄さんに会いたいときなんか‥‥まぁ怖くなったときぐらいだよ?
「いやそんなんじゃないっていうか‥‥ノックしなかったのはごめんね。 ちょっと気になることがあって」
いつもはノックして入っているんだけど、今日は何も考えずに開けちゃった。
「気になること? 俺の明日の予定は丸々空いているぞ」
いや別にそういうことじゃなくて‥‥。
「いえ、兄さんの予定を聞きたい訳じゃないです。 あと空いてるならデートしてきてください! いや、今はその事じゃなくて」
「どうした?」
よし、兄さんも真剣な顔になってくれた。
いやまぁ、真剣でもふざけるときはぶざけるんだけど‥‥。
「いや、兄さんなら知ってるかもって思ったんだけど、森田さん昔に、ひーくんって呼ばれたことってあるのかなって」
兄さんが知らないなら、それは違うってことになる。
何故なら兄さん達は昔からほとんど一緒にいたはずだから、そう呼ばれているなら知っているはず‥‥。
今日の蕾さんの別れ際の表情を思い出し、出来れば当たっていてほしいと私は思った。
「なんだそれ? そんなの聞いたことないぞ」
‥‥‥‥そうか。
やっぱり、そう都合よくいくわけないよね。
「ごめんね兄さん、邪魔して‥‥。 お休み」
自分は思った以上に期待していたみたいで、なんだか気持ちが沈んだ。
私はトボトボと自分の部屋に戻ろうとする。
「あ、でも」
兄さんの声が、ドアを開けようとしていた私に届いた。
なんだろう。
「‥‥どうしたの、兄さん?」
兄さんの方を向くと、兄さんは何かを考えているようだった。
「いや、今思い出したんだけど、小学生の時、広葉が違う呼ばれかたしていたことはあるぞ。 まぁひーくんではないんだけどさ」
「‥‥あ」
そう言われた時、私も前世のことを思い出した。
どうして忘れていたんだろう。
そういえば、あったじゃないか!
「”ひろば”って呼ばれてたんじゃなかったか?」
────それだ!