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76 見つかるまで‥‥

 つぼみさんに頼み事をされて、そこから色々考えて時間が過ぎていき、いつの間にか約束の日になった。

 私達は言っていた通り、つぼみさんの好きな人を探すことになった。


 そこでひとつ問題が。

 そういえば、しんくんとつぼみさんって会ったことないんじゃないかな。

 一応事前に言ってはいたんだけど。

 ここは私がうまく紹介しないとね。


つぼみさん、こちら同じクラスで、友達のしんくん。 人を探したりすることなら正直私より頼りになるかなぁ」


磨北まきたしんです。 よろしく」


「これはご丁寧にどうもっす。 自分は蔭道かげみちつぼみっす。 よろしくっす。 私、手伝ってくれる人が増えるなんて、すごく嬉しいっす!」


 おーなんとも好印象、さすがしんくん。


「そう、言ってくれると少し嬉しいかな」


「とてもちょろそ‥‥優しそうな人っすね!」


 おい、本音が出てるから!


「それじゃあ行こっか!」


 少々無理矢理だが、話を終わらせ、出発することになった。




 ◇◆◇◆◇◆




「うん、見つからないね」


 公園周辺から始まり、はや三時間、色々なところで人に聞いたりしたのだが、情報が少なすぎるのか、知っている人がいない。

 つぼみちゃんも探しているんだが、それらしい人はいないようだ。


「そんなすぐに見つかったら、私がビックリっすよ。 でもそろそろ一回休憩するっす。 もうくたくたで」


「そうだね、何処に行こうか?」


「近くにあったファミレスにするっすよ。 ダラダラするにはもってこいの場所っすよ」


 友達とファミレス‥‥なんだかとても緊張する響きです。

 いや、行ったことはあるよ‥‥兄さんと。


「まぁゆったりするなら、カフェとかよりはいいかもね。 よし、そうしようか」


「うん」


 こうして、私達はファミレスに行くことになった。




 ◇◆◇◆◇◆




「ぷはぁ~生き返るっす~」


 目の前では天才少女がコーラを飲みながら、だらっとしていた。

 つぼみさんは、このままイスからずり落ちるんじゃないだろうかというぐらいに浅く座っている。

 でも、結構歩いたし、しょうがないんだけどね。

 私もクタクタだよ、人と話すので。


「やっぱり、このまま、でたらめに探しても見つからないかもね」


「そうなんだよねぇ、本名さえ、分かればまだなんとかなりそうなんだけどね。 何かいい方法ないかな~」


 情報が少ないので結局は、つぼみさんの記憶が頼りなわけで、でも今のところそれっぽい人いないみたいなんだよなぁ。


「私がもうちょっと遊んでた時に名前とか聞いたり出来てたらよかったんっすけどね。 あ~過去に戻れるなら戻りたいっす。 二人もそういうの憧れないっすか?」


「いやー? 私は別に‥‥?」


 少し、変な感じで答えてしまったが、もう戻った後ですから、反応に困るわけです。

 いや戻ったと言っても、人としては違う人になったけど。

 でも前世で出来なかったことも結構出来ているしね。


 それに戻ったら、また前世の時からで、また殺されるかもしれない。

 えぇ、今が一番ですよ!


「僕は少し心残りはあるかもしれないけど、今は楽しいよ」


 あれ? しんくんもなんだ。


「もう! それ、二人が特殊なだけっすよ。 でも仲間はずれみたいで悔しいっす。 でも過去にも戻りたいっすよ~」


 まぁ普通の人は戻りたいって考えるよね。

 しんくんと私は少し珍しく見えるかもしれないね。

 私はなんだか、しんくんは過去に戻れるなら戻りたいって言いそうな気がしたんだけど。


「まぁ過去に戻るとかそういうのじゃなく、何か現実的な方法はないかな?」


「現実的‥‥過去に戻るための何か装置みたいなのを作るっす!」


 それ何処が現実的なんですか‥‥いやまぁ、転生とかなにやら、している時点で私が何か言えることではありませんけど。


「でも、やっぱり今は聞き込みしかできないかな。 じゃあもうちょっと聞き込みしよう」


「そうだね」


 しんくんの言葉により、休憩後、ファミレスを出たあとも少し聞き込みすることになった。




 ◇◆◇◆◇◆




 結局、特になんの成果もなく、時間だけが過ぎていき、日が傾いてきていた。


「今日はもう、終わりにするっすか。 付き合ってくれてありがとっす♪」


「え、でもつぼみさん‥‥」


 まだ探してから何も進展がないんだけど。


「少し前にも言ったっすけど、そんなすぐに見つかるとは思ってないっすよ。 今日手伝ってくれただけでも感謝っす」


 つぼみさんは笑ってそういった。

 だけど、私にはなんだかその笑顔が無理をしているようにみえた。


「でも私、見つかるまで協力するからね」


「‥‥ありがと。 奈留なるちゃん」


 その後、私達はまた集まることを約束して、帰ることになった。

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