334 少し気になったこと
『でもその辺りはどれだけ考えたってちゃんとしたことはわからないわ。 ただ、私達以外にもタイムマシンを持っているってことを気を付けておいた方がいいってことね』
可能性としては低いけれどタイムマシンでない可能性も一応考えておくべきだとは思うけど‥‥。
「‥‥そうだね。」
『って、今は夕闇さんをどうするかだったわね。 ‥‥あ、一応今はタイムマシンに乗せておきましょうか。 姿を消せるし、緊急時のために色々と積んでるからね』
「‥‥うん」
うん? 何だか小乃羽の様子がおかしい。
何か考え事でもしているのだろうか‥‥。
『どうしたの、小乃羽。 なにかあった?』
「うん‥‥ちょっと‥‥」
小乃羽は言うことを迷っているのか話さない。
流石にAIとはいえ心は読めないので、話してもらわないことにはわからない。
『なによ。 勿体振らないで話しなさいよ』
「いや、ちょっと自信がなくて‥‥」
『いいわよ、別に。 情報を共有しておくのは大事なことだわ』
あとで知らなかったとかそういうの面倒だからね。
「本当にわからないんだけど‥‥あの私が取り乱してた時だから‥‥」
『ってことは、あのよくわからない女の人がいたとき?』
「う、うん、というかその女の人についてなんだけど‥‥。 いや、本当にあの時は取り乱してたから私の勘違いだとは思うんだけど‥‥」
『そういうタメはいらないから早く話なさいよ。 というか、もっと前に言うべきでしょ、それ』
「ごめん、でもタイムマシンの話とかがあったから、見間違えじゃなかったのかなって思って‥‥」
タイムマシンの話? それで何を話そうと思ったのか‥‥。
私は小乃羽の次の言葉を待った。
「あのね、さっきの女の人なんだけど‥‥腕時計をしていたような気がするんだよね‥‥」
『腕時計? 腕時計っていうと‥‥あの?』
ここで考えられる腕時計っていうのは一つしかない。
マスターが作ったあの腕時計だ。
「うん、あの腕時計‥‥でも、本当にただ似たような物を着けていただけかもしれないし、私もあのときは冷静じゃなかったから‥‥」
『いや、それだけ変な人だったもの‥‥何があったとしても不思議じゃないわ。 だけど、腕時計だけは別。 腕時計がそんなよくわからない人に渡るとは考えられない。 あれはマスターに頼んだとしてもそう簡単に渡してもらえるものじゃないはずよ。 仲がどれだけよかったとしてもね』
「危険だから、だよね。 お姉ちゃんはもう使ってしまっていたからだけど、初めから師匠がいたら絶対に使わせなかっただろうし‥‥。 そもそもお姉ちゃんが使っているもの以外は全て保管しているし、他の世界でもそう簡単には持ち出せないはず‥‥」
『私がいればそこまで難しくはないけど、あんなやつと協力なんてありえないもの』
そうなると腕時計をどうやって‥‥。