333 おかしいこと
『でも、守るっていっても、桜を伐る元凶はあのよくわからない人だったわけだし、桜が伐られるということはもう回避出来たんじゃないかって言って、すぐにお姉ちゃんを助ける方法を探すんだ! って感じに小乃羽はなると思ったんだけど‥‥』
「冷静に考えたら、一回退いたからってまた来ないとは限らないからね」
『それは‥‥そうね』
一回私達が邪魔をしたからってもう、来ないというのは流石にあり得ないだろう。
だからこそ夕闇さんのことが気になるけれど、小乃羽もここにいる決断ができたのかもしれない。
まぁ、それに言っていた通り夕闇さんが望んだことを最後までやりたいのだろう。
「お姉ちゃん、私頑張るから‥‥」
小乃羽が端から見たらただ眠っているだけのように見える夕闇さんの手をとり、決意した。
『小乃羽、夕闇さんを何処に寝かせる? この場所でずっとって訳にはいかないわよ』
夕闇さんを誰かに見られたら色々と面倒だ。
こんな状態になった夕闇さんを事情を知らない人に任せるわけにはいかない‥‥。
だからといってマスターを寝かせていたような場所は私達には用意できない。
「そうだね‥‥でも、私の家は別の私がいるかもだから使えないし‥‥そもそも、夕闇さんの体はこの世界の人なんだから行方不明とかになるってかなり不味いことなんじゃ‥‥」
確かにそうだ。
だけど、私はこの世界に来てから少しだけ違和感を感じていた。
その違和感は何なのか少しだけ考えるとすぐに何なのかがわかった。
『それなんだけど、少しおかしいとは思わない?』
「おかしいって何が?」
『夕闇さんの体を見てみてよ。 今戻ってきたこの時間って、夕闇さんがまだ小学生くらいじゃないとおかしいはずなのよ。 なのに今ここにいる夕闇さんは私達がよく知っている中学高校くらいの夕闇さんよ』
「あ‥‥本当だ‥‥」
タイムマシンで戻れば別におかしくないのだが、腕時計を使っているのに成長した状態というのはおかしいのだ。
「でも、どうして?」
『ちゃんとしたことや過程はわからない。 だけど、こういう状態になるにはこれぐらいしか考えられないっていうのはある』
「それって‥‥?」
『自分の意思か他者の意思かはわからないけど、夕闇さんの体がタイムマシンでこの世界にあったということよ。 つまりはこの世界には今二つの夕闇さんの体がある』
「ちょっと待って! わからない部分が多すぎるし、そんなありえないようなこと‥‥」
『私も自分で言っていてそんなことありえるのかって思うわよ。 だけど、マスターの存在がそれをありえることにしてしまえる。 普通の人からしたら私たちだってありえない存在だもの』
でも、一体なんのために‥‥。