319 メールを送り‥‥
「お姉ちゃん、何してるんですか?」
「御姉様にメールを‥‥ね」
私は最後まで御姉様にきちんとあのことを謝ることが出来なかった。
というよりは面と向かって真実を話して、御姉様から嫌悪の籠った目で見られることがどうしても嫌だった。
だから、メールくらいきちんと謝りたかった。
でも、やっぱり私は卑怯な人間だ。
ここにきてまで、御姉様に本当のことを知られるのが怖い、嫌われるのが嫌だってそんな考えばかりだ。
結果、私は最後まで御姉様に本当のことは話さなかった。
メールにも最後に謝罪だけを書いた。
『別に送る必要もないメール送って落ち込むって苦痛が大好き系の人間なのかしら?』
「お姉ちゃんは優しいから色々と考えちゃうんだよ‥‥って、苦痛が大好き系とは、一体なに!? もしお姉ちゃんがそうなら、今頃大変笑顔になられてるよ!」
『いや、そもそもそんな夕闇さんならたぶん初めの世界にいると思うわよ』
「それもそうだね‥‥って! 自分でふざけておいて冷静に返さないでよ!」
なんだか私が送信している間にまた喧嘩になりそうな雰囲気が‥‥。
『あ、終わったみたいですね。 では、行きましょうか』
「行きましょう行きましょう! ‥‥あ、コンビニあるので寄ってからにしませんか?」
『はぁ、短めにね』
「了解!」
まぁ、こまめに休憩は大切だからね。
私もなにか飲み物でも買おうかな。
◆◇◆◇◆◇
「アイスうま~」
ん? 行きしにも見たな、この光景。
小乃羽ちゃん、めちゃくちゃアイス食べるね‥‥。
『帰りも長い道のりになりますから‥‥どうします? また一泊しますか?』
「あーどうしよう。 でも、何だか一気にいきたい気持ちはありますね、危ないかもだけど‥‥」
『夕闇さんはどうしますか?』
「小乃羽ちゃんが大丈夫なら私は大丈夫だよ。 ま、安全第一で」
『わかりました。 じゃあ、そうしましょう』
そして、私達は日が傾きだしても、そのまま宿泊先を探すことなく漕ぎ続けた。
「結構来たと思うんだけど‥‥」
『そうですね、行きしよりは全然早いペースです。 小乃羽もそこまで弱音をはいてないし』
「私、頑張ってます! たぶん帰ったら私しばらくは歩けないと思います!」
「そ、そんなに!? 無理しちゃ駄目だよ! 今から休憩する?」
「いえ、今ならいくらでも漕げそうな感じなんです! このまま行っちゃいましょう!」
完全に限界突破して、疲れの向こう側にいっちゃってるよ‥‥。
まぁ、小乃羽ちゃんがいいって言ってるんだし、このままいきますか。




