316 突然の言葉に
「は、はいもう帰ろうかなぁと」
先生に返事をしていないことに気づいた私は慌てて返事をする。
「その自転車でか? バスがあるのに変なやつだな」
「あ、あはは‥‥」
確かにこんなところまで自転車で来たら、おかしなやつだと思われても仕方がないと思う。
まぁ、バスに乗れないなんて、言っても信じてもらえないだろうし‥‥。
「もし、なんだったら乗るか? 自転車も一台なら入るからな」
「え、いえ! 大丈夫です! そんなご迷惑おかけするのは‥‥」
「いや、自分も帰るところだから構わないぞ、それに話したいこともあるしな‥‥」
私に話‥‥いや、少し気になるところではあるが、相手の中身が森田先輩とわかった以上は少し警戒しないと‥‥。
ペラペラと喋って、ボロを出しかねないからね。
「でも、流石に‥‥」
「帰るのが無理だったら、話だけいいか?」
話をすることは避けられそうにないな‥‥。
断ろうとしても、たぶん諦めてはくれなさそうに見えた。
「わ、わかりました」
私は渋々了承した。
アイちゃんからは特になにも言われていないってことは別に話を受けるのは間違ってないってことでいいのかな?
いや、もしかしたら決めかねているのかも‥‥。
そして、私達は落ち着いて話が出来るように、場所を変えるために少しだけ移動した。
良い場所が見つかって、何を話していいのかわからず、私の方は無言になっていると先生の方から口を開いた。
「その話っていうのは、一つだけだ。 お前、別の世界から来た人間だろ?」
「え!?」
どうやってバレたんだろうか‥‥! いや、でもカマをかけているだけかもしれないし‥‥。
でも、結構驚いてしまったから、もしかしたら‥‥。
「今の反応を見るに、本当にそうっぽいな」
バレちゃったかなぁと思ったんだよね‥‥正直、いきなりすぎて全く身構えてなかったし、ほとんど素で驚いてしまった。
「世界が変わって、確かに色んなことが変わっていて‥‥それでもどこか同じような感じになるはずが‥‥福林、お前の存在は他とは何だか違うように見える」
まぁ、確かに森田先輩にとってはお兄様に彼女ができたりだとかその辺りも変化しすぎているように見えたんだろう。
「一つだけ聞きたい。 夕闇陸を夕闇奈留にしたのはお前か?」
えぇ、どうしようどうしよう!
これは正直に言った方がいいのかな? いや、別にこれは嘘をついても‥‥。
するとアイちゃんが近くにいたのか、耳元で正直に言っていいですよ、と言われた。
アイちゃんがそう言うなら、大丈夫なのかな?
「‥‥はい、そうです」