311 会わないように?
「お姉ちゃん、メールしたんですか?」
「うん、さっき送ったよ。 ごめんね、早く行かなきゃいけないのに待たせちゃって」
「いえいえ、必要なことですからね。 気にしないでください」
先程送ったばかりなのだが、お兄様からはわかったという返信すぐに来た。
別に携帯を見ていて偶然かもしれないけど、すぐ返信がかえってきたことに私は嬉しい気持ちになった。
お兄様って結構遅いことが多いから珍しいっていうのもあるけど‥‥。
っと、早く出発しないとね。
「そういえば、アイちゃんは? 姿を消してるだけ?」
「あ、言うの忘れてました。 アイちゃん先に行きました。 主に調査するために‥‥」
「え!? 私、待たせ過ぎちゃった?」
「いえいえ、ただ先に向こうの様子を見てきて戻ってくるみたいなことを言ってたので、お姉ちゃんのせいとかでは全くないですよ」
「様子を見に行ったんだ‥‥というか、アイちゃんってそんなに早く移動できるものなの?」
「まぁ、直線距離でいけますし、移動も早いですならね。 たぶんすぐに戻ってくるんじゃないですかね」
え、 そんなに早く戻ってこられるものなの?
まだまだ近くなったとはいえ旅行までは結構な距離があるはずだけど‥‥。
『なんの話をしてたんですか?』
もう帰ってきた!?
「アイちゃんの話だよ。 急にいなくなったからお姉ちゃんに聞かれて」
『あぁ、なるほど。 すみません、夕闇さん、待たせてしまって』
「あ、ううん。 全然大丈夫だよ。 でも、なんか思っていたよりもスッゴい早いね」
『まぁ、自転車と比べたら早いとは思いますが、そんなに早いですかね』
てっきり戻ってこなくて、現地で合流するのかと思ったが、そういうわけではなかったみたいだね。
『まぁ、何個か知りたかったことはしれたので、すぐに帰ってきたんですよ』
「知りたかったこと?」
『まぁ、大きな理由は向こうに蕾さんがいるかどうかということです。 いた場合、会わないようにしないといけないじゃないですか』
「あ、確かに‥‥」
そういえば、お兄様のことばかり気にして、蕾ちゃんに会わないようになんてことをすっかり忘れていた。
蕾ちゃんが参加するって言うのも聞かなかったし、行かないのかなぁと思っていたのだが、やっぱり御姉様たちと一緒にいるのかな?
『結果的には蕾さんはいましたので、どうにか気をつけておいてください』
「わ、わかった。 どうすればいいのかはわからないけど‥‥」
旅行が同じで顔を合わせないことなんかほぼ不可能に近いと思うけど、どうにかしないとね‥‥。