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73 突如として廊下で

 この前の休日の後から、私は学校でしんくんとよく喋るようになった。

 教室ではもちろんのこと、たまに一緒に帰ったり。

 まぁ帰るときは大勢いるときが多いけど。


 今日も、空いた時間でしんくんと話していた。


「それじゃあ奈留なるさん」


「またね」


 話が一段落したので、私は自分の席に戻った。

 席に戻ると由南ゆなちゃんが私に話しかけてくる。


「仲良くなれてよかったわね。 あまり心配はしてなかったけど」


「うん、でもこうなれたのも提案してくれた由南ゆなちゃんのお陰だよ?」


 由南ゆなちゃんが言ってくれなかったら、考えもつかなかった訳で、本当に感謝です。

 由南ゆなちゃんが友達でよかった。


「私なにもしてないわよ。 奈留なるが頑張っただけじゃない。 元々約束してたんなら、結末は変わらないわよ」


「それでもやっぱり言ってくれたのは由南ゆなちゃんだから。 ありがとね由南ゆなちゃん」


 やっぱりきっかけって大事だしね。

 ここはきちんとお礼を言わないとね、ついでに全力のスマイルを。


「まぁ‥‥うん、どういたしまして。 ‥‥そういう笑顔は反則だと思う」


 由南ゆなちゃんは恥ずかしいのか、顔を赤くしながら、目をそらした。

 いつもと違い、私が少しからかってやろうかな、とそんなことも、考えたのだが、そういえばやることがあったのを思い出した。


「あ! そうだ、図書室の本まだ返してない。 由南ゆなちゃんちょっと行ってくるね」


 私は席を立ち上がり、急いで図書室に行こうとする。


「え? ちょっと奈留なる奈留なるー!」


 急だったから驚いたのか、由南ゆなちゃんは私を呼ぶ。


「話ならまた後で聞くよ~」


「そうじゃなくて、本忘れてるわよ!」


 本当だ! 由南ゆなちゃんに言われなかったら往復するところだった!

 やっぱり由南ゆなちゃんにはお世話になってばっかりだね。




 ◇◆◇◆◇◆




 私は図書室に本を返しに行こうと、廊下を歩いていたのだが、後ろから聞いたことのある声で私の名前が呼ばれたような気がした。

 あれ、この声誰だったかな‥‥あ。

 私は振り向くと想像していた通りの人物が立っていた。


蔭道かげみちさんですか、こんにちは」


奈留なるちゃ~ん久しぶりっす~。 それと前にも言ったっすけど私のことはつぼみって呼んでほしいっす」


 そういえば、そうでしたね。

 小学校から蔭道かげみちさんって呼んでるから、何だかそっちの方が慣れちゃったんだよね。


「じゃあつぼみさん、どうしたんですか?」


「だからまだちょっと固いっすよ。 それはいいとして‥‥今暇っすか!? ちょっと奈留なるちゃんに頼みたいことがあるんっすけど!」


 いきなりの大きな声に驚いたのだが、表に出さないように頑張った。

 いや、別に頑張る必要ないと思うけど。


「う~ん、暇ではないかな。 図書室に本を返しに行くところだし。 その後でもダメかな? もしかして何か大事な用事?」


 あまりつぼみさんが私に声をかけてくる理由がわからないし、先生からの伝言とかが万が一にもあるかもしれないからね。


「いや、暇なら今やってる実験の実験台になってもらおうかなぁーと」


 ちょっと!


「なにさせようとしてるんですか!」


「冗談っすよ冗談♪ 楽しいつぼみジョークっす。 あはは‥‥ちょっと本当に冗談っすよ!? だから段々と私との距離を空けようとしないでほしいっす!!」


 いやだってつぼみさんなら本当にやりかねないし、ここは逃げるのが一番正解なんじゃないかと。

 えぇ、特に意識してないんですけど、足が後ろに下がろうとしています。


「これぐらいが今の私の限界です」


 つぼみさんとの距離が五メートルくらいになり、ようやく停止した私は、つぼみさんに言った。


「さっきもっと近かったっすよ!?」


「もう仕方ないですね。 ‥‥はい、戻りましたよ。 それで、結局なんですか?」


 元の位置に戻った私は改めて、つぼみさんに聞いた。


「それが‥‥その‥‥」


 つぼみさんは下を向いて黙ってしまって、先程までの元気はなくなっていた。


「言いにくいことなんですか?」


「‥‥いや、大丈夫っす! じゃあ言うっすよ!」


 つぼみさんは覚悟を決めたようだ。

 謎の緊張感が伝わってくる。


「は、はい! 何ですか!」


 はぁ、つぼみさんが言いにくいってことは、どんな恐ろしいものだろう。

 聞くの嫌だなぁ‥‥でも、こうなったら、もう恐ろしい実験とか、いけないもの作っちゃったとか、何でも来いです!

 えぇ、やけくそです!





「好きな人を探すの手伝ってほしいっす!!」


 ‥‥え?

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