306 メールを再度確認
「ぐぬぬ‥‥まさか遊びで製作していた自転車がここまで私を苦しめることになろうとは‥‥」
「で、でも一応は完成したんだね、二台目」
大分疲れて、今にも倒れてしまいそうな小乃羽ちゃんの目の前には一台目とほとんど変わらない二台目の電動アシスト自転車があった。
「そりゃもうこうなったら作るしかないと思って頑張りましたよ‥‥。 でももう駄目です、一歩も動きたくないです」
そう言って小乃羽ちゃんはその場に座り込んでしまった。
まぁ、仕事をやって、仕事の合間に自転車の改良ってかんじだったし本当に疲れているんだろうなぁ。
『ま、休むのはいいけど、旅行に行くときまでには万全の体調でいってないと色々と危ないわよ。 もし倒れたりなんかしたら元も子もないからね』
小乃羽ちゃんを見てると本当に心配になるからね。
蕾ちゃんと比べたら、まだって感じかもしれないが蕾ちゃんは凄すぎるからね。
「ま、まぁ確かに‥‥。 じゃあ、五十日くらいは休みがほしいです!」
『夏休み終わるでしょうが‥‥。 二時間で疲れをとりなさい』
「最近スッゴい無茶言うよね、アイちゃん‥‥」
あはは‥‥最低でも一日はほしいよね‥‥。
そして、小乃羽ちゃんの少しの仮眠を挟んだ後、二台目も一応きちんと出来ているのかのテストを行った。
『こっちも問題なさそうね。 ‥‥もう少しこんな欠点が、みたいなものがないと面白くないわね』
「えぇ? ちゃんと出来たんだからほめてよ! それとお姉ちゃんと目的地まで行くことに面白さとか求めてないよ!」
◆◇◆◇◆◇
「そういえば、お姉ちゃん。 旅行の日っていつぐらいでしたっけ?」
「えっとね‥‥あれ? そういえば私もあまり詳しく確認してないや」
「アイちゃんはわかる?」
『いいえ、そもそも私はメールを見てないもの』
少し前まで行かないつもりでいたので、その辺りはあまりきちんと覚えていなかった。
メールが来たときもバスのことばかりが目に入って、ちゃんと見ていなかったというのがあるかもしれない。
私は急いでメールを再確認する。
そこには予定が書かれていて、小乃羽ちゃんとアイちゃんも画面を覗き込む。
「あれ? 今日って何日でしたっけ?」
「えっと、今日は‥‥」
今日の日付と旅行の日を見比べる。
‥‥う~ん、見間違いかなぁ‥‥。
「お姉ちゃん‥‥今日じゃないですか!」
「うん、今日だね」
『夕闇さん、驚きで逆に冷静になってるわね‥‥。 というか、急がないと不味くないですか?』
そして、私たちは急いで支度を始めた。




