305 試してみた
「あ、いいかもこの自転車」
小乃羽ちゃんが作っていたほぼ電動アシスト自転車を乗ってみると、かなりすいすいと進んでいく。
「本当ですか! 余り物の材料で作ったので少し心配でしたが‥‥」
ということは、これのために新たに買った素材はないってこと?
それってかなりすごいというか‥‥料理でもレシピの通りに作るのと余り物だけで作るのでは、やっぱり余り物で美味しいものを作れるのってすごいって思うからね。
「こぐペダルもすごく軽いね」
これなら本当に旅行の場所まで行けるかもしれないね。
まぁ、時間はやっぱりかかるだろうけど‥‥。
「まぁ、本当ならペダルをこがなくてもいいようにしたいところですけど、それだと免許がいるので、ギリギリを攻めてみました」
「あ、そうなんだ‥‥まだ私免許とれないもんね‥‥」
まだ中学校に入学して初めての夏という‥‥本当に免許はまだ先だね‥‥。
いや、まぁとったところで初めの方は身分証明書として使うぐらいだろうけど‥‥。
『でも、結構良い出来ね。 本当に小乃羽が作った?』
「なんで作ってるところを見ておいて疑ってるのさ‥‥! まぁ、誉めてくれてるんだろうけどさ‥‥でも師匠と比べるとやっぱり私の作るものはレベルが低いというか‥‥」
『比べる相手が間違ってるのよ。 マスターは次元が違うんだから。 普通に考えてみなさいよ。電動アシスト自転車作ったって言われたら普通の人は凄い‥‥いや、頭おかしいってなるわよ』
「私バカにされてるよね!! そうだよね!?」
中々作ろうとは思わないよね‥‥うん。
でも蕾ちゃんがいるから麻痺してるけど、小乃羽ちゃんも凄いよね。
普通作れないからね、電動アシスト自転車なんて‥‥しかも材料は余り物で。
『ま、でも本当に良い出来なのは確かよ。 頑張ったわね、小乃羽』
「う、うん‥‥」
何だかアイちゃんが小乃羽ちゃんに頑張ったなんて面と向かっていうというなんて、かなり珍しいかもしれない。
小乃羽ちゃんも若干戸惑ってるし‥‥。
『それで、二台目も作るのよね?』
「え、二台目?」
ん? なんで二台なんて話になったのだろうか‥‥。
『だって、それは夕闇さんの分でしょ? 二台目は小乃羽が乗る用』
「‥‥え、やっぱり私も一緒に行くの!? 冗談じゃなかったの!? というよりも自転車で行くことは決定!?」
『だって、他に方法ないしね。 それとサイクリングは一人もいいかもだけど、二人の方が寂しくなくていいでしょ?』
「あ、そういう問題なんだね!?」




