70 お話をしていた四人ですが‥‥
リビングでゆったりお菓子を食べながら、四人で話していると、何故か突然、というかいきなり祈実さんが言い出して、恋愛話に発展した。
「奈留ちゃん好きな人いるんでしょ~。 教えて教えて~」
あーすごい絡んでくるー!
どこの酔っぱらいですか祈実さん!
「いませんし、言えませんよ!」
えぇ、今世にはいませんし、前世好きだったのが、祈実さんとか言えるわけないですからね!
「嘘だぁ~。 絶対いるでしょ~。 じゃあ陸くんはいるの?」
「あ、俺か? 俺は彼女いるし」
「あ~そうだった。 そういえば、私、陸くんの彼女見たことないな。 見せてよ!」
「写真とかとってねーよ?」
まぁまだ付き合ってデートも一回だけだし、写真とかなかなかないよね。
「じゃあ、会わせてよ~」
祈実さんは兄さんの肩を掴み前後に揺さぶる。
「きさねぇ、相手の都合もあるんだから無理言っちゃいけないって」
「まぁそう言うと思って、事前に福林さんに連絡したんだけどな」
え、いつの間にしてたの!?
あと祈実さんが言うと思ってって、さらっと言ってるけど普通に凄いな。
「小乃羽ちゃんどうだったの?」
「初めは行けるのかなと思ったんだが、断られちまった」
あぁ、やっぱり。
そんなにいきなり言われても、いけるわけないよね。
「会えないのか~」
「また今度な。 それにしても今日の祈実なんだか妙にテンション高くないか? なんか酔っぱらいみたいだぞ」
それは私も思ったが、こういうときもあるでしょうし、私は何も言わなかったんだが。
でもまぁお酒とかありませんし、酔うってことはないでしょう。
「そんなことないにょ~」
うん、何かおかしい気がする。
「まぁ、きさねぇがアルコールに弱いのは本当ですけどね。 ‥‥実体験として」
「実体験って?」
「い、いえ! なんでもないです! それは置いといて、僕から見ても今日の、きさねぇは少し違うような‥‥」
「もしかしたら何か酔うものが‥‥」
兄さんの目線の先には先程まで食べていたお菓子が‥‥あ。
私達の思考が全く同じことを考え付いた。
ブランデーケーキか!
「まさか、きさねぇ、ケーキでも酔うなんて‥‥。 ここまで弱かった覚えはないんだけど‥‥」
「俺、こんなお菓子で酔うやつ初めて見たぞ!」
酔うことあるって聞いたことはあるけど。
もう少し考えてから出すべきでした!
「すみません、祈実さん! 私考えなしで」
「大丈夫だよ~? あれ、奈留ちゃんがいっぱい‥‥」
もう色々、大丈夫じゃないじゃないですか!
「そういえば、磨北弟は大丈夫なのか?」
祈実さんが弱いってことは遺伝で、信くんも弱いってこともあるもんね。
「なんともないですね‥‥何だか複雑な気分‥‥」
姉弟でこんなことあるんですね。
両方とも弱いとかならわかるんですが。
「ひとまずは祈実さんを休ませた方がいいですね」
私たちは祈実さんをベッドに運んだ。