273 怒っていらっしゃる
御姉様達のお泊まりの話を聞いてみると、磨北祈実さんがいたということに私はかなり驚いた。
もうそんなに仲良くなっていたのかということに‥‥。
私がもしお兄様とお付き合いをしていなければ、もう磨北さんとお付き合いをしていたんじゃないかと思うほどだ。
転校してくるのが一年早いから、もしあのときに告白していなかったらと思うと‥‥本当にギリギリのところだったのかも。
その後、御姉様は一言帰りますと言って帰ってしまった。
やっぱり忙しかったのを引き留めてしまったんだろうか‥‥。
「あ、荷物結局置いていかなかったみたいだな‥‥」
「本当ですね、重そうだったのに‥‥。 今からでも追いかけますか?」
私としては今日のこのカフェの時間だけで十分満足だ。
「流石にもう間に合わないよ。 それにもう少し福林さんとも話したいし」
「は、はい」
まさかそんなことを言われるとは‥‥何だか照れるといいますか‥‥。
その後、私達は御姉様がいなくなったあともカフェで満足するまでお話をした。
◆◇◆◇◆◇
家に帰ると、アイちゃんが何故か不機嫌にしていた。
何故だろうと思っていたが、私はその理由を思い出した。
そういえば、私お兄様との放課後一緒に帰ることを断っちゃったんだよね‥‥。
絶対にそれに対して怒ってるんだ‥‥。
怒った時のアイちゃんって怖いんだよね‥‥本当によく小乃羽ちゃんは平然と返してるものだよ。
「た、ただいまアイちゃん」
『お帰りなさい』
うぅ、謝りたいところだけど、謝りづらい‥‥。
こういうときに小乃羽ちゃんがいてくれたらいいんだけど‥‥。
「あ、お姉ちゃん。 お帰りなさい」
こ、小乃羽ちゃん! あぁ、いいところに‥‥今私には小乃羽ちゃんは女神様のように見えるよ‥‥。
私は小乃羽ちゃんを部屋のすみまで連れてきて、小声でアイちゃんに謝るために仲介してほしいとお願いしようとする。
「こ、小乃羽ちゃん、アイちゃんが怒ってることなんだけど‥‥」
「あ、ごめんなさい、お姉ちゃん。 何か八つ当たりされました? いや、さっき私が怒らせちゃいまして‥‥」
え? ‥‥‥‥えぇ! あれ、私に怒ってたわけじゃないの!?
てっきり私に対して怒っているのだとばかり‥‥。
「えっと‥‥今度は何で怒らせたの?」
「お仕事サボって、さっきまでがっつり睡眠をとってたり、アイちゃんをバカにしたり?」
「うん‥‥そりゃ怒るね」
毎回のことだけど、なんでそんなに喧嘩になるかな‥‥まぁ、今回は小乃羽ちゃんが悪そうだけど‥‥。
で、でも私に対してじゃなくてよかった‥‥。