272 上の空?
何だか御姉様は座りにくそうにしていたが、お兄様が誘導してテーブルに三人で座ることになった。
「御姉様、居るなら声をかけてくださればよかったのに」
「あはは‥‥気付かなかったんだよ」
でも、さっき気づいていたから声をあげたんじゃ‥‥う~ん、私の勘違いなのだろうか‥‥。
「奈留は買い物の帰りだったみたいだな。 重たそうだし、荷物は俺が持って帰るよ」
見てみると、そこそこ重たそうだしね。
そういえば、私も妹の時、お兄様に荷物を持ってもらったりしてたっけ‥‥何だか申し訳なくて途中で荷物を取り返したりしたけど‥‥。
あ、そんなことよりケーキだケーキ!
「御姉様、御姉様! ここのケーキとても美味しいんですよ。 御姉様も食べてみてください!」
すぐにでも食べてほしかったので、私は御姉様に口にケーキを運ぶ。
「え‥‥ん、あむっ‥‥‥‥もくもく」
御姉様は若干戸惑っていたが、口を開けてケーキを食べてくれる。
「どうです?」
そういえば、今更だけど御姉様って甘いもの大丈夫だっけ‥‥。
確かそうでもなかったはずだけど‥‥でも、ちょっと無理矢理だったかな‥‥?
「ん、凄く美味しいよ!」
御姉様は笑顔になってくれて、私はホッとすると同時にとても嬉しい気持ちになった。
「そうですよね! お兄様がおしえてくれたんです」
「少し前に広葉と来たことがあってな」
でも、少し意外ではあるよね。 お兄様はともかくとして森田先輩ってあんまりカフェとかそういうところよりもゲームってイメージがあるから。
「へぇ、森田さんと‥‥」
御姉様も疑問に思ったのか、少し首をかしげていた。
「あぁ、なんかこういう所に行くと、大人になったみたいでかっこいいとか何とか」
あぁ、なるほどそれなら納得かも‥‥。
「なんだか、森田先輩らしいですね」
私がそういうと御姉様もうんうんと共感してくれる。
変わらないなぁ、森田先輩は。
その後も楽しくおしゃべりをしていた。
話題はお兄様達のことでお泊まりをした話とか。
そういえば、お誘いがあったような‥‥なかったような‥‥。
でも、楽しそうだよね‥‥アイちゃん達の許可がおりたら私も御姉様達とお泊まり会をしてみたいなぁ。
そして、そんな話をしている最中、所々御姉様がぼんやりとしていて、ちょっと心配になる。
「御姉様?」
「え、何? 小乃羽ちゃん」
「いえ、なんだか、ぼんやりしていたようでしたから」
もしかしたら、無理矢理止めてしまったけど何かやることがあったりしたのだろうか‥‥もしそうなら申し訳ないな‥‥。




