271 もうひとつのカフェ
「今日なんで誘ったかっていうと、この前言っていたカフェに一緒に行きたいと思ってね」
「あ、森田先輩と行ったっていう‥‥」
「そうそう。 まぁ、福林さんと会うための口実みたいなものだけど」
「え! あ、え!?」
そういうことをさらっと言ってしまうお兄様はズルいと思います‥‥凄くうれしいですけど‥‥。
まぁ、お兄様にとっては妹みたいなものだろうし、彼女というより久々に親戚と会うみたいな感覚に近いのかも?
「じゃあ、いこっか」
「は、はい!」
うぅ、絶対に顔赤くなってるよ‥‥。
これからカフェに行くのに上手く喋れる気がしない。
◆◇◆◇◆◇
「可愛い! 隆見て! こんなに可愛い!」
「客に絡むなー! 仕事しろー蓮佳ー!」
何故か私は綺麗なおねえさんに抱きつかれていた。
カフェの人なのかな? でも、まぁ別に悪い気はしないけど‥‥。
「はっ! デート中にごめんね! 可愛いとついね」
何だかすごい人だなこと人‥‥。
いや、悪い人ではないことは確かだけど‥‥。
「隆、私達にもあんな初々しいときがあったのかな‥‥」
「ない!」
「まさかの即答!! あったよ!? あったって言ってよー!」
「あーはいはいあったあった」
「まさかの適当!!」
何だか思ってたイメージとは違うカフェだね‥‥うん。
私たちはテラス席に座った。
「何だかすごいカフェですね」
「前に来たときはこんな感じじゃなかったんだけど‥‥まぁ、本当にいいところなんだけどね」
「はい、それはなんとなくわかります」
いいところであることは確かですよね。
まぁ、さっきのはきっと‥‥うん、何かの間違いだろう。
その後、先ほどのおねえさんとは違う人からケーキが運ばれてきて、私はケーキを食べた。
「お兄様、ここのケーキおいしいです!」
前行ったところも美味しかったけど、こっちは何だか次元が違う美味しさだ。
これは何度だって来たくなるかもしれない。
「そうだね、やっぱり旨い」
お兄様も笑顔でケーキを食べている。
先ほどのおねえさんのお陰で緊張もなくなっていたし、落ち着いたデートが出来ていて、この時間がずっと続けばいいなぁと思っていると、どこかから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「なんだ、それなら安心だ!」
「あれ? 御姉様?」
何が安心なのかはわからないが、何故か離れたところで半分隠れている御姉様の姿が見える。
「本当だ、あんなところで何してるんだ?」
偶然御姉様がいるなんて‥‥。
「そうだ、御姉様にもこのケーキ食べてもらいましょうよ」
何だかこういうのって美味しいことを共有したいと思うものなのか、私は御姉様に食べてもらいたいと思った。




