264 二回目の‥‥
「じゃあ、行ってきます」
「お姉ちゃん、お兄さんとのデート楽しんできてくださいね」
休日の今日、二度目のお兄様とのデートとということになった。
お兄様から連絡がきて、私も特に何も予定がなかったので‥‥いや、予定があったとしてもよっぽどのことではないかぎりはたぶんお兄様の方を優先すると思うけど‥‥。
そんなことを思いつつも私は家を出た。
◆◇◆◇◆◇
「待たせちゃったかな?」
お兄様が待ち合わせ場所に来たのは私が来てすぐだった。
「いえ、先程来たところですから」
この前は私が遅かったし、少し早めに来たつもりだったんだけど、お兄様も早めに来ていたのかな?
「そっか。 じゃあ行こっか」
「はい!」
何だか二回目だけれど、改めてこの恋人っぽい会話が嬉しい。
たぶん何度あったとしても同じ事を思ってしまいそう‥‥。
顔がにやけそうになるのをこらえつつ、私はお兄様に付いていった。
◆◇◆◇◆◇
「お兄様、今日はどちらにいかれるんですか?」
「う~ん、どうしようか‥‥少し行ってみたいところはあるんだけど‥‥」
「行ってみたいところですか? じゃあ、そこにしましょうよ」
私はお兄様には特に目的地も聞かずにそう言った。
まぁ、お兄様だから変なところではないだろうし、お兄様が行きたいと言っているのにそれを断るほど私が行きたいと思うところもないしね。
「う~ん、まぁ少し遠いけど、ちょっと花屋敷にいってみたいんだよね」
花屋敷ですか‥‥今はどんな花が咲いているんでしょうか‥‥。
まぁ、この辺りにはないもんね。
「じゃあ、時間がかかるんですかね? 急いでいきましょう!」
そして、私はお兄様の後に付いていった。
◆◇◆◇◆◇
「え、あの‥‥ここって‥‥」
「どうしたの? 福林さん」
お兄様に付いてきて、着いた場所は‥‥私が忘れることのない場所‥‥二度と来ちゃ駄目だと思っていた場所‥‥。
目の前には、バス停があった。
怖い‥‥嫌だ嫌だ‥‥ここにお兄様を近付けては駄目だ。
今回は何もないかもしれない、だけどそんなことは関係ない。
お兄様が亡くなった光景が‥‥出来るだけ思い出さないようにしていた記憶が‥‥一気にまぶたの裏に浮かぶ。
そこで運悪く、バスが来てしまう。
「お、ラッキーだな。 待たずに行けそうだ」
駄目だ、このバスに乗っちゃ駄目だ‥‥!
でも、この場面でやっぱりやめましょうなんて、絶対に変に思われる‥‥。
バスが目の前に止まり、扉が開いた。
怖い怖い怖い怖い怖い!!
私はバスに乗ることに恐怖を感じるようになっていた。




