263 接点がないはずの二人が
『夕闇さん、何だか面倒なことなってきましたよ‥‥いえ、ある意味では正しい流れなのかもしれませんが‥‥』
学校では珍しくアイちゃんが教室で話しかけてきた。
というか、学校に普通にいるんだね‥‥まぁ、姿を消せるから別に問題ないんだろうけど‥‥。
そんなことよりどうしたんだろうか‥‥?
「何かあったの?」
『陸さん、妹さんの方ですが、マスター‥‥いや、蕾さんとお話ししているところを見てしまいまして‥‥。 あれはこれなら仲良くなるかもしれませんね』
「蕾ちゃんが御姉様と?」
今まで二人が一緒にいたりしていたことなんてなかったはずだし、接点なんてなかったはずだけど‥‥。
でも、それのなにが面倒なのだろうか‥‥?
「確かに全く関わりがなかったわけだから、驚きではあるけれど‥‥別になにか問題なの?」
『忘れたんですか? 蕾さんに会わないようにって言ってたじゃないですか。 陸さんと仲良くなってしまっては蕾さんが両方の陸さんの近くにずっといる可能性が出てくるかもしれません』
「あ、そういう‥‥」
そういえば、蕾ちゃんにこの小乃羽ちゃんの姿で会うのは駄目だって、言われてたね‥‥。
元々、蕾ちゃんの弟子だったことで何か不都合なことがおこるかもしれないってことだったよね。
確かに御姉様に近づけなくなるのはちょっとね‥‥あとお兄様と会うときも気を付けないといけないかもしれない。
蕾ちゃんに会わないようになんて、本当ならしたくないけど‥‥私はこの世界でも蕾ちゃんと仲良くなるために、ここに来たわけではない。
「わかった。 気を付けておくね」
『はい。 お願いします。 私も出来るだけ事前に察知出来るように気を張っておきますから』
「何だかどんどんアイちゃんの負担が増えてるけど、大丈夫?」
私がもう少し何か出来れば‥‥。
なにか手伝えることがあれば、そう言おうとも思ったが、私が出来ることなんてたかが知れているし、逆に邪魔をしてしまうんじゃないかと思ってしまい、言えなかった。
『問題ありません、私はAIですから。 ‥‥ですが、小乃羽は表に出しませんのでわからないかもしれませんが、結構頑張っているようですから、出来れば小乃羽の方を気にかけてやってください』
「それはもちろん」
小乃羽ちゃんが最近忙しそうにしているのはなんとなくだけどわかる。
何で忙しそうにしているのかは私にはわからないけれど、今まで私が迷惑をかけている分、小乃羽ちゃんの支えになるようなそんな人に私はなりたい。
「よろしくお願いします」
そして、アイちゃんはどこかにいってしまったのか、声が聞こえなくなった。




