260 曖昧な‥‥
『まぁ‥‥問題ないんじゃないですか?』
「凄い曖昧な感じだね‥‥」
アイちゃんに磨北さんと御姉様のことを話すとそんな返事がかえってきた。
確かに未来のことなんだからわからなくても仕方なくはあるんだけど‥‥。
というか、そもそもアイちゃんは二人が一緒にいることは知っていたんだよね。
私にも教えてほしかったよ‥‥。
『曖昧にもなりますよ。 情報が全然ありませんからね。 ‥‥ですが、中身が同じだからといって今までと同様の出来事が起こるとは限りません。 まぁ、磨北信さんの方については心配なところもあるので今後も監視するつもりですから、夕闇さんが心配することはないですよ』
「‥‥うん」
アイちゃんに任せておけば大丈夫だろうし、私は私でお兄様とのことがあるから心配する余裕なんてないけど‥‥でもやっぱり御姉様が危険なことに巻き込まれたりなんてことになったら‥‥。
どうか死ぬようなことは起こらないでほしい。
「‥‥あれ? そういえば、小乃羽ちゃんは今いないの?」
『そうみたいね。 まぁ、別に仕事とかそういうのではなさそうですね。 気分転換に散歩とかしているのかもしれませんね。 でも、そろそろ暗くなるでしょうし、頼みたい仕事もあるので、夕闇さん少し連れ戻しに行ってくれませんか?』
姿を見てみれば、小乃羽ちゃんの方が大人なんだけどね‥‥。
まぁ、たまに危なっかしいところがあるし、私としては全然かまわない。
「うん、わかった。 どの辺りにいるのかな?」
『えっとですね───』
◆◇◆◇◆◇
アイちゃんに教えてもらった場所に向かうと、小乃羽ちゃんは座って、何だか楽しそうに鼻唄を歌っていた。
「小乃羽ちゃん」
「ふーふふーん‥‥ん? え、お姉ちゃん! どうしてここに‥‥」
「アイちゃんに教えてもらって。 そろそろ暗くなるから連れ戻し言ってって言われてね。 お仕事があるそうです」
「えー‥‥むぅ、わかりました」
小乃羽ちゃんはしぶしぶ納得したようだ。
「でも、近くにこんな場所があったんだね」
ここまで来るのに結構大変だったけど、今見えている風景を見ればそんなのどうでもよくなる。
辺りを一望できて、何だか落ち着く‥‥。
「結構良い場所なんですよね。 大きい木もあって自然を感じられますし、風景も綺麗ですし‥‥でも、切株に座るのはおしりが痛いです‥‥。 今度から椅子でも持ってこようかな‥‥」
「あはは‥‥。 小乃羽ちゃん、私もまた来ていいかな?」
「別に私の場所ではないので、私の許可なんていらないですよ、お姉ちゃん」
「あはは、そうだね。 じゃあ、落ち着きたい時に来ようかな‥‥」
その後、少し感傷に浸りつつ、私達は家へと帰った。