259 御姉様の尾行について
「ごめんね小乃羽ちゃん。 森田さんがデートの邪魔しちゃって」
後日御姉様から何故か謝られた。
別に御姉様が悪いことなんてなにもしてないと思うんだけど‥‥。
「いえ! 御姉様が謝ることないですよ! 森田先輩が尾行してたというのは正直驚きましたが」
アイちゃんから聞いていたのは御姉様だけでしたからね‥‥森田先輩ってそんなに尾行をうまいのかな‥‥。
「怒ってないの?」
「帰ろうと思ったのは私の意思ですから。 森田先輩が悪いわけではないですよ。 それにあのままデートを続けていたら私がダメだと思ったんです」
「え、どうして?」
「‥‥お兄様の隣にいるのが、嬉しくて。 ドキドキで、もう倒れちゃいそうでしたから」
もうあの時点で結構満足していたしね。
「ふ~ん♪ 楽しんだんだね!」
「その含みのある笑顔は、なんですか御姉様! そ、それよりもその日は御姉様も外出してたってお兄様が言ってましたが」
まぁ、御姉様が尾行をしていたというのは‥‥うん、言わないでおこう。
「うん、本屋行ったり、ボウリングしたり楽しかったなぁ。 あれだけ遊んだのは久しぶりかも」
「ボウリングいいですね。 私も久しぶりにやってみたいです」
今度、お兄様と一緒に行くのもいいかもしれない。
「一緒に行った磨北くんは結構上手くて見ていても楽しかったよ。 小乃羽ちゃんとも行きたいなぁ」
「え、御姉様、男性の方と行かれたんですか!?」
まさか、二人で尾行していたということになるのかな‥‥?
いや、そもそもこの前転校してきたばかりの磨北さんと一緒にって‥‥どういうこと?
もしかして、お付き合いを‥‥‥‥ありえる。 中身は同じな訳だからね。
そうじゃなければ二人で遊んだりしないよね。
「あれ、聞いてないの? うん、転校生の磨北信くんだよ」
「この前言ってらっしゃった方ですね。 へぇ、お付き合いされてるなんて知りませんでした」
「付き合ってないよ?」
‥‥あれ? 違う?
「え? でも‥‥」
「磨北くんとは、友達になりたいんだよね!」
「そ、そうなんですか」
まさかそんなにすぐに二人が一緒に遊ぶくらいの関係になるなんて‥‥やっぱり二人はなにか運命のようなもので繋がっているのかもしれないな‥‥。
でも、ひとつ不安なことがあるとするならば、体は違うとはいえ、二人が揃えばなにか良くないことが起こるんじゃないかという不安だ。
大丈夫だとは思うけど、一応は考えておいた方がいいかもしれないね‥‥。
頭のすみでそう考えつつ、私はその後も御姉様と楽しくお喋りをした。




