7 始めましょう
私の人生の目標は兄の嫁探しである。
それが最近あまりできていないような気がする。
そもそも良いと思う人がいても知り合いにならなければ、候補にはならない。
よし! まずは知り合うところから始めよう!
あれ‥‥知り合いってどうやって作るんだろう?
べっ、別に人と話すのがニガテって訳じゃない! 話題がないだけなんだよ!? ホントだよ!?
あーきょうもいいあさだなー
今日も現実逃避は私の心を穏やかにしてくれる。
「そろそろ起きようかな。 ‥‥そういえば嫁探しで思ったけど、兄さんって今気になっている女性いるのかな?」
そうだ! 兄が今気になる人がいるか朝ご飯の時に聞いてみよう。
やっぱり同じ中身だから、あの子なのかなぁ?
◆◇◆◇◆◇
「いねぇよ」
「嘘!?」
「嘘じゃねぇよ!」
なんだと! あり得ない! ホントに貴方、現役の男子高校生ですか!?
私が前世、高校一年の頃なんか気になる人‥‥‥‥特にいなかったな‥‥。
前世であの子と知り合ったのは、そういえば、もう少し後だったし‥‥。
それでも過去にいたりとかはしたはず!
だって私もいたんだから!
「じ、じゃあ中学の時とかはいたんじゃないの?」
「う~ん‥‥特にいないな」
あるるぇぇー?
貴方ちゃんと前世の私と同じ学校行ってる?
私が変わっても学校での出来事は変わってないはずだよ!?
兄さん中学校の時、何してたの!
‥‥広葉と毎日遊んでましたね。
‥‥頑張ろ、今まで以上に。
「でもでも、可愛いなぁとかはあったでしょ?」
「まぁそれはあったと思うが。‥‥べ、別に何もねーからな!」
「何か、あってよ!」
「何でだよ!?」
これは重症だ!
このままだと将来、兄さん一人ぼっちに‥‥。
いや、私がいるから二人か!
今と変わらないじゃん! やったね!
‥‥‥‥いやダメだろ! それ精神でいえば実質一人ぼっちだから!
よし! まず身近にいる人に探りをいれてみよう。
◆◇◆◇◆◇
お昼の休み時間、親友の由南ちゃんに、話をしてみることにした。
「由南ちゃんって、私の兄さんに会ったことあったよね?」
「あぁ、あの落ち着いた感じのお兄さん?」
ん? 落ち着いた?
誰それ?
‥‥あぁ、猫被ってる兄さんか。
「う、うん‥‥そうだね」
しかーし今話すことではない! 印象を悪くする必要はないしね。
「奈留もお兄さんを見習って、もう少し落ち着いたら?」
あれ? どうしてこんなことに?
見習うもなにも自分な訳だが?
「別に普段は私だって落ち着いてるよ! 由南ちゃんと話すときはテンション高いかもだけど‥‥」
「奈留は少し自分のことを正確に理解した方が良いと思う」
「自分のことは自分が‥‥違う違う! 別に説教聞きたい訳じゃなくて」
「説教ってほどでもないと思うんだけど? で、何が聞きたいの?」
なんか色々精神を削られたが、ようやく本題にはいれる。
「由南ちゃんから見て、私の兄さんのこと男としてどう見える?」
私は聞きたいことを聞いてみた。