254 デートの日
そして、そのまま何事もなくデートの日になった。
その間に何かあったかもしれないが、私にとってはデートが大きすぎて他のことが見えていなかった。
‥‥お兄様とのデートだもん。 他のことなんて目に入らないよ。
それぐらい私は緊張していた。
お兄様から集合場所が指定されており、場所はあの告白した場所である公園だ。
改めて告白のことを考えるとものすごく恥ずかしいので、公園を見ると顔から火が出るが、場所的にもいい場所にあるし、恥ずかしいのを我慢すればいいだけの話だからね。
『支度は済みましたか? 忘れ物とかありませんか?』
「大丈夫。 特に何か持っていくものとかもないしね」
「心配性だなぁ、アイちゃんは。 母親みたいだね」
『うるさいわね。 大事な一回目なんだから当然でしょ。 一回目でほとんどが決まるのよ』
「ま、お姉ちゃんが楽しくデートできれば私はいいと思うけどね」
自分が楽しまないとお兄様も楽しくはならないだろうしね。
うん、出来るだけ心を落ち着けて、笑顔で楽しめたらいいな‥‥。
◆◇◆◇◆◇
思ったよりもアイちゃん達と話していたのか、少し家から出るのが遅くなってしまい、約束の時間はまだあるが、結構ギリギリになりそうだ。
後ろには姿は見えないがアイちゃんと小乃羽ちゃんがいる‥‥らしい。
私にも姿は見えないからね。 正直、いるのかどうかもわからない。
『一応はいますよ?』
「っ! びっくりした‥‥」
突然声をかけられると思った以上に驚いてしまって‥‥心臓に悪いね‥‥。
まぁ、そんなことを何度か繰り返しつつ、私は公園に着いた。
公園には既にお兄様の姿があり、私は急いで駆け寄った。
「すみません、お兄様! 遅くなってしまって」
「いや、まだ時間には余裕があるし、気にしないで。 別に俺も今来たところだったし」
あまり待たせてはいなかったのかな?
それならいいんだけど‥‥。
「そ、そうなんですか‥‥よかった‥‥。 あ、今日はよろしくお願いします!」
「あはは、何だか恋人同士なのに硬いよ。 別に年上だからって遠慮しなくていいからね。 じゃあそろそろ、映画館行こうか」
「はい、お兄様」
あぁ、今お兄様とデートをしていると思うだけで、幸福感に包まれているように感じる。
そんなふわふわとした気持ちで私は映画館に向かった。
『お姉ちゃん、嬉しそうだね。 初めも特に問題なさそうだし』
『そうね。 ‥‥いや、ちょっとひとつ問題があるけど』
『え、今の段階であった? まぁ、アイちゃんが言うならそうなのかな?』
『まぁいいわ。 それより早く追うわよ』
『うん!』




