251 見たかった‥‥
「お姉ちゃん、聞いてます? お姉ちゃーん! アイちゃん大変だ! お姉ちゃんが動かなくなっちゃった! もしかすると腕時計の未知の副作用が‥‥」
『いやいや、普通に感傷に浸っていて、聞こえてないだけよ。 そりゃ絶対にあり得ないと思っていた告白が成功したんだもの。 あんな風になるわよ』
「確かに。 私たちに説明しているときも、心ここにあらずって感じだったもんね。 ‥‥というかさ、アイちゃんなんで今日に限ってお姉ちゃんの側にいないの? バカなの?」
『はぁ!? 私はやらなきゃいけないことはいくらでもあるんだから、そんな毎日夕闇さんを見てるなんて出来ないわよ! そもそも夕闇さんが今日外に出ていって陸さんと会うとか聞いてないし! 告白するなんて聞いてないし!』
「確かに偶然出会ったってことで中々難しいかもしれないけど‥‥でもAIだしそのへん予測とかさ‥‥」
『そんなこと簡単に出来たら、もっとスムーズに色々なことがうまくいってるわよ!』
私が気付いたとき、なぜか二人は睨み合って、お互いの悪口を言い合っていた。
どうしてそうなったんですか‥‥。
まぁ、アイちゃんがAIでよかったよね。
AIじゃなかったら確実にそれ以上の喧嘩になっちゃいそうだし‥‥。
「二人とも落ち着いて!」
「あ、お姉ちゃん!」
『夕闇さん、現実世界に帰ってきたんですね』
「元々いたつもりだったんだけど‥‥」
確かにさっきまでお兄様との出来事を改めて振り替えっていたけれど‥‥。
喧嘩の理由を聞いて、見られてなかったことをしり、私は逆に見られてなくてよかったと思った。
あんなに泣いてたりしていたところだったし‥‥。
見られてたら恥ずかしいのという気持ちで、たぶん二、三日は顔を出せなかっただろうし‥‥。
「でも、お姉ちゃん本当に凄いですよ。 私はもう少し時間がかかると思ってましたし」
『それは私もそうね。 急かしてはいたけれど、実際にはもっと仲を深めてからだと‥‥』
「確かに急ぎすぎたような気も‥‥」
「いやいや、こうしてお付き合いできることになったんですから、急もなにもないですよ! 逆に遅くなっては付き合えなかったかもしれませんからね」
『本当に良いタイミングだったんだと思います』
まぁ、あそこを逃したら駄目だという気持ちは凄くあったし、自分でもよかったと思う。
「じゃあ、お兄さんと次に会う約束もしたんですか?」
「‥‥うん、まぁ一応は。 でも、また相談にのってもらえると助かるんだけど‥‥」
「任せてください! 告白ではお手伝い出来なかった分、ここで頑張ります! アイちゃんもそれでいい?」
『えぇ、構わないわ』
そして、私達は次の段階について話し始めた。




