249 次の言葉は‥‥
言ってしまった‥‥。
もう後戻りは出来ないけど‥‥でも、やっぱり今じゃなかったんじゃないかって、そんな後悔ばかり思ってしまう。
お兄様はなにやら悩まれているような、そんな顔をしていた。
やっぱり、断られるのかな‥‥。
断られるとわかっていても、やはり悲しいと思う気持ちはあるわけで、それを表には出さないようにするしか今の私にはなかった。
私がもたもたとしているとお兄様の方から話しかけてくれる。
「好きって、俺が?」
やっぱり迷惑だよね‥‥こんな急に‥‥ただの妹の後輩というだけでそれ以外の接点なんてないんだから。
「は、はい! ご迷惑なのはわかってますし、お兄様に告白なんかしていい人間じゃないこともわかってます‥‥。 だけど、好きなんです!」
そう、今までのことを考えれば私がお兄様に告白なんて、誰がどう考えてもおかしいのだ。
‥‥でも、もしお兄様がこれで助かる可能性が少しでも増えるのなら、私はなんと言われようとも構わない。
だから私は振られたとしてもしっかり最後まで好きということを突き通すと心に決めた。
「いや、別にいいんだけど、福林さんが俺のこと好きって少し意外だったから」
確かにこの世界ではお兄様にはまだ数回しか会っていないし、好きになるタイミングなんてないに等しいし、そもそもこの世界からではないのだから、お兄様がわかるわけないよね‥‥。
いや、元々の世界でもお兄様は私が好きだったことを知らなかっただろうけど‥‥。
「‥‥あまり表に出さないようにしてましたから」
世界をまたいでもずっと‥‥。
蕾ちゃん達にはバレちゃったけど、それ以外の人にはバレていなかったはずだしね。
「そ、それで、返事の方は‥‥」
こういう時、きっと待っていたほうがいいんだろうけどね‥‥正直、私の心が持ちそうになかった‥‥。
「正直、俺はまだ恋っていうものがどういうものか、わかってないんだよね。 だから福林さんのことも正直、妹みたいに接するようなことぐらいしか出来ないかもしれないよ?」
妹、というのは御姉様のことだろうか‥‥。
御姉様とお兄様の関係を見ているととても仲が良さそうで私は少し羨ましくなっていたが、そんな風に私もなれるのだろうか‥‥。
お兄様にとっては否定的な言葉だったのかもしれないが、私にとってはまだ少し可能性があるということが嬉しかった。
「それでも私は構いません」
私がそう言うと、お兄様はまた少し悩まれていて少しの間が空いた。
断る言葉を探しているのかとか、そんなネガティブなことを思ってしまいそうになる。
でも、言えることはもう全部言ったよね‥‥。
大丈夫と言い聞かせてお兄様の次の言葉を待った。




