67 家に招待してみました
そういえば、まだ兄さんに磨北くん達がくるって言ってなかったな。
まぁ兄さんも広葉が最近くる時言ってないし、特に問題ないような気はするが、一応言っておこう。
「兄さん、今日磨北くんとお姉さんの祈実さんが家にくるから」
「へー‥‥え、今日!? 聞いてないんだか!?」
「うん、言ってないから。 じゃあ迎えに行ってくる」
「えぇ‥‥」
◇◆◇◆◇◆
この前の電話の時点では、もうこれで大丈夫だと思っていたのだが、磨北くんと祈実さんって、私の家を知らないことに気付き再度電話をかけておいた。
集合場所は二人と会ったことがある図書館にした。
なんか私、外に出歩くと、基本図書館にいるね。
現在、私の方が先に着いたらしく、二人を待っていた。
すると、遠くから私を呼ぶ声が。
「おーい奈留ちゃん!」
あ、祈実さん。
とその後ろを歩いているのは磨北くん、ちゃんと来てくれてよかった。
「おはようございます、祈実さん。 磨北くんもおはよう」
「お待たせ~奈留ちゃん。 はぁ~やっぱり奈留ちゃんだぁ」
出会って数秒もたたずに抱き締めてくる祈実さん。
うん、やっぱりとてつもない破壊力だ。
今日は、すぐに、放してくれたが、ドキドキが鳴りやみません!
「おはよう、夕闇さん。 少し待たせたみたいでごめんね」
「大丈夫、じゃあ早速行こっか」
う~ん、今の時点ではそれほど仲は悪くないと思うんだけど、やっぱり壁があるような気がする。
何かはよくわからないが、今日で少しでも仲良くなれたらいいなぁ。
◇◆◇◆◇◆
「いらっしゃい」
玄関で兄さんが笑顔で出迎えてくれたが、なんだか目が笑ってない。
やっぱり事前に言わなかったの怒ってるのかな‥‥。
そして、見事に余所行きの顔になってるし。
「あー! やっぱり陸くんだ。 久しぶりだね」
「久しぶりって、昨日も教室で顔合わせてるし」
そういえば、クラスメイトでしたねこの二人は。
それに思った以上に仲が良い?
兄さんも普通に喋ってるし。
「そういえば、陸くんって奈留ちゃんのお兄さんだったね。 見比べてみると何処と無く似ている感じが‥‥」
前に言ってなかったかな?
祈実さんがただ忘れてるだけか。
まぁ、似てるって言われることはあまりないけど、中身が一緒ですからね。
「あまり言われたことないな」
あ、兄さんもそうなんだ。
育ち方が違うだけなんだよ? あと一緒だよ?
「う~ん、やっぱりそんなに似てないね」
あれー? やっぱりそうなんだ。
少し残念。
「まぁ、上がってくれ。 持て成しはしないが」
持て成ししないって、私がするんですから兄さんあまり関係ないような‥‥。
「えー、じゃあ紅茶を」
「出さねーよ!」
だから、出すの私!
早く入ろうよ。
さっきからなぜか磨北くんポカンとしてるし。
◇◆◇◆◇◆
「それにしても二人って仲良かったんですね」
少し驚きましたよ。
あまり兄さん話さない人だから、顔見知り程度だと思ったんですが。
「別に仲良くはないんじゃないか? まぁ席が隣だから喋るってだけだ。 な、祈実?」
「私は友達だと思ってるんだけどね。 学校の案内もしてくれたし♪」
へぇ、兄さんが、そんなことするなんて思いませんでしたよ。
「先生に頼まれて仕方なくな」
やっぱり‥‥。
でも少し驚きかな。
両方とも下の名前で読んでるし、何だか複雑な気分。
まぁ、それはそうと磨北くんさっきから喋ってないけどどうしたの‥‥ってなんかすごい動揺した顔してる!?




