248 自分の力で
森田先輩に正直に話すと、森田先輩は初めは目を見開いて驚いていたが、途中から何か納得したように私の目を見て黙って頷いた。
そして、森田先輩は帰ってしまった。
そのあとまたゲームをするみたいな話をしていたので、てっきり少しだけ席をはずすのかと思っていた私はそのまま帰ってしまうことが予想外で少し焦ってしまったが、まぁ少し時間がほしいと言ったのは私だし、帰っちゃうのも仕方がないの‥‥かな?
でも、帰る直前にお兄様に向かってニヤニヤしていたのは勘の良いお兄様にバレちゃうかとヒヤヒヤしたが‥‥。
「なんだ広葉のやつ‥‥。 まぁいいや、今日は料理ご馳走してもらって、ありがとう福林さん。 今度またお礼するね」
「い、いえ、お礼なんて。 私が作りたかっただけですから」
お兄様に久々に私の料理を食べてもらって、美味しいと言ってもらえて私としてはこれ以上ない幸せだ。
「じゃあそろそろ俺も帰るよ」
‥‥まずい、お昼ご飯も食べ終わり、森田先輩がいなくなった今、お兄様がここにいる必要もないわけで‥‥このままじゃなんの進展もせずに終わってしまう!
でも、まだ勇気が‥‥。
まだ少し時間がほしい‥‥そうだ!
「あ、あの! ‥‥‥‥わ、私も少し歩きたくなったんでお兄様に付いて行っていいですか!?」
「え? うん、いいけど」
これで、少し時間が延びた。
その間に、覚悟を決めないと‥‥。
◆◇◆◇◆◇
「お兄様はお料理はしないんですか?」
「そうだなぁ、まぁ簡単なものなら作ったりも出来るが‥‥妹の料理がうまいから中々作ろうとは思えないんだよ」
どうしよう‥‥普通の話はまだできるけど告白するタイミングは全然つかめない‥‥。
そろそろ家に近づいてきているし、そのままじゃ本当にただ付いていっただけになってしまう。
その時、公園の前を通ろうとしていたとき、私は思いきって公園にお兄様を誘うことにした。
「なんか寄りたい気分だったんですけど‥‥時間とか大丈夫でしたか?」
そう言っている間にも私は告白しなきゃ告白しなきゃと頭のなかで渦巻いていた。
「別にそのまで急ぐことはないよ。 それにしても公園ってなんか久々に来たなぁ。 最近はあまり寄ることもないし‥‥。 ん? 福林さんどうかした?」
「‥‥」
「福林さん?」
ここで言わないと私はこれから先も駄目な気がする。
一度くらい誰かを頼らず、自分の力で乗り越えたい。
「‥‥私、お兄様のこと好きです!」
私はついにお兄様に自分の気持ちを伝えてしまった。




