244 助けた以上は
『大体はわかりましたかね。 その後、陸さんの腕時計回収の時に磨北さんの記憶も一緒に磨北信さんに移して、夕闇さんのいる時間に飛んだのでかなりの時間がかかったという感じですね』
「流れはわかったけど‥‥」
『あと磨北信さんはこの世界でもなにもしなければ亡くなっていたようですね。 まぁ、私には関係のないことですが‥‥』
アイちゃん、冷たいね‥‥いや、本当なら祈実さんだってアイちゃんには関係のないことなのに、一応は何か突破口が開けるんじゃないかと見守ってくれていたんだ。
文句なんて言える立場では私はないからね‥‥。
「じゃあ、結局‥‥今の信さんは祈実さんなんだね?」
『そうですね。 まぁ、だからといって私達がすることは変わりませんよ。 夕闇さんが陸さんに告白することです』
「お姉ちゃんは気にせずにお兄さんのことを頑張って下さい」
「う、うん‥‥」
確かに私には関係のないことなのかもしれないけど‥‥でも、やっぱり気になる‥‥。
◆◇◆◇◆◇
「私達のやったことがいい方向に動いてくれるといいんだけどね‥‥」
『そんな思い通りにはいかないでしょうね。 でも少しでも夕闇さんの後悔などが薄れてくれればそれだけでやった意味があったといえるわ』
出来れば夕闇さんにはなにも考えず、告白してもらいたいから。
「ねぇ、アイちゃん。 言わなくてよかったの? 確かに祈実としての死は体を移すことで回避されたけど、磨北信としての死はあるかもしれないっていう‥‥」
『そんなこと言えるわけないでしょ、あくまでも可能性の話だし。 そんなこと言ったら余計に夕闇さんに色々と背負わせちゃうわよ』
詳しく調べていないのでわからないが、自殺はなくなったかもしれないが、事故になると中身が変わっても関係なさそうではあるから‥‥ね‥‥。
流石にそんなことを夕闇さんに言えば、お兄さんだけでギリギリなのにもう一人増やしてしまうことになる。
これは私がやったことなんだから、私が解決すべきだ。
「‥‥そうだよね。 それで結局、今後はどうするの? 磨北さんから手を引くの?」
『私は一度助けた以上は最後まで関わるつもりだけど?』
直接的は関わりはないが、何年も監視していれば、愛着も湧くものだ。
出来れば死んでほしくはない。
「私も付き合うよ。 でも、中々大変だね‥‥。 いっそのこと他の体に移し変えるみたいなことは‥‥」
『そんな都合のいいのなんてあるわけないでしょ。 それに記憶を保存したものは使い捨てだったようで一度使用したのち、起動しなくなったし‥‥』
「複雑すぎで私たちじゃ直せなそうだしね」
『まぁ、今後特に必要になることなんてないでしょうけどね』




