234 この世界の‥‥
遊園地に行って、さらに距離が縮まると私は思っていたが、やはり会う場所が少ないと、難しいことを実感した。
仲は良くなったと思うが、部活でしか会わないとやっぱり実感はないよね‥‥。
「お姉ちゃん、たまに部活終わりに一緒に帰ったりもしてるんですよね?」
「まぁ、そうだけどそれも短い時間だからね」
「難しいですね‥‥でも、何をしていいのかもまだ探り探りな状態ですし、それくらいでいいのかもしれませんね」
「う~ん、そうなのかなぁ‥‥」
仲良くなることを頑張ってはいるけれど、私は御姉様と仲良くなるために戻ってきたわけではない。
もしもの時の為なのだ。 あの絶望を繰り返さない為の‥‥。
『いや、そうも言ってられないかもしれないわよ?』
後ろから急に声がして、振り返るとアイちゃんの姿があった。
何だかいつも後ろから登場するね‥‥ビックリするから出来れば普通に登場していただきたいな‥‥。
「アイちゃん。 どこ行ってたのさ。 どこか行くなら事前に言っておいてよね!」
『別に前からあったでしょうが』
まぁ、たまにふらっと何処かに行くイメージはあるけど‥‥。
「それで、そうも言ってられないってどういう意味? ‥‥まさかじゃないよね?」
『たぶん小乃羽が想像している通りだと思うわよ』
二人がなにかを共有しているのだが、私には何にも理解できないのだけど‥‥。
まぁ、二人の間に入っていけるとは私は思わないからいいんだけどね。
「じゃあ、あまりのんきに構えることも出来そうにないですね。 でも、方法がね‥‥‥‥」
「あの‥‥話せることが出来るならでいいんだけど、私にも簡単に教えてほしいんですけど‥‥」
「あ、ごめんなさいお姉ちゃん! えっとですね‥‥」
小乃羽ちゃんは話づらそうにしている。
『悪い知らせなのは確かね。 えっと、まずは私が何処へ行ってたのか言った方がいいわよね。 少し未来に行ってたのよ。 行った日に戻ってこれたらいいんだけど、本当に大雑把だからね、あのタイムマシン』
「未来に行ってたの!?」
『はい。 なのでその辺りを見れば私がどこに行ってたのかはわかったはずだけど?』
「タイムマシンなんて毎日確認するわけないじゃん!」
まぁ、ここから置いている場所は少し離れてるしね。
アイちゃんが未来に行っていたと言われた瞬間はかなり驚いた。 しかし改めて考えてみると、なにもわからず足踏みしているより絶対にいいのは確かだよね。
未来によってどんなことをしていいのか考えることができるし。
「それで、その悪い知らせというのは‥‥」
この時点でなんとなく私は想像が出来ていたが一応アイちゃんに聞く。
『この世界でも陸さんは‥‥。 なにもしていない現時点では、ですが‥‥』
こんなに色々なことが変わった世界でも、そこは変わらないのか‥‥。




