230 私のせいで
初めに行くことになったお化け屋敷の場所を一度行った記憶をたよりに人混みの中を歩くと、途方もない人の行列が目の前にあった。
「結構並んでる‥‥ね‥‥」
「でも、きっとどこも並んでるだろうし、並ばないと何処にも乗れないですよね」
「う~ん、じゃあ並びますか」
待つのは別に嫌いではないけど、御姉様は部活だけの出会いだし、兄と森田先輩からしてみれば私とは二回目の出会いになるわけで私といるのは気まずくなるのではないだろうか‥‥。
しかし、並んでみると皆さんわいわいと話をして、私もその輪の中に入ることが出来て、並んでいる間も私にとっては楽しい時間となった。
いつの間にか列もかなり進んでいて、私達の番になった。
「小乃羽ちゃん、じゃあ行こっか」
「はい!」
凄く元気に入っていった御姉様。
いつの間にか私は御姉様と手を繋いでいて、お化け屋敷に入っていくのに気持ちは明るくなっていた。
‥‥御姉様、少し緊張していらっしゃるのか顔が強張っていますが、大丈夫でしょうか‥‥。
隣の御姉様を心配しつつもお化け屋敷の奥へと入っていった。
◆◇◆◇◆◇
お化け屋敷に入っていくと色々な驚かす演出があって、その度に御姉様がビクッとするところが繋いでいる手からわかった。
私はこういうのは全然平気なので、出来るだけ御姉様が怖くないように立ち回ろうとは思ったわけだけど、それでもどこからどんな演出があったか忘れてしまっていたのでどうしてもうまくいかない。
そして、最後の方の演出で、御姉様は急にしゃがみこんでしまった。
さっきまでは表情はひきつっていたが、まだ耐えられていたのに‥‥。
私は御姉様が怖がっていた演出の方を見ると、人形が刃物を持っているのがわかった。
本物ではもちろんないだろうけど、それでも御姉様が今までにない怖がり方をした。
兄はそれほど驚いていないにも関わらず、御姉様は極端に怖がっている。
同一人物であるはずなのにこの違いは‥‥。
改めてその人形を見て、私のなかで一つの考えが頭に浮かんだ。
御姉様がこんなに怖がっているのってもしかして‥‥。
そう思うとそうとしか思えなくなってきた。
‥‥いや、刃物で怖がるなんてそうとしか考えられないだろう。
きっと私がやったことのせいだ‥‥。
自分が犯した罪で御姉様がこんなにトラウマになって‥‥。
私は謝りたい気持ちでいっぱいになったが、今は御姉様を早くお化け屋敷の外に出す方が先だと思い、御姉様を励ましつつ、外へと出た。




