227 行動しないと
そして、部活の体験期間が無事に終わり、私は御姉様が入っているソフトテニス部に入部することになった。
初めなのでやっぱり授業終わりの部活は素振りや走ったりなど、御姉様に近付ける時間などは、練習中には中々訪れなかった。
しかし、特にやることを決められていない朝の練習では御姉様と一緒に打ち合ったり、何故か御姉様に教えたりしている。
「小乃羽ちゃん、もう既に誰よりもうまいような気がするけど、改めて素振りとかって大変じゃない?」
「いえ、私なんてまだまだ‥‥それに基本は大事ですから、素振りも楽しいですよ!」
ただ、そのせいで御姉様と一緒にいる時間が減るので、そういうところでは少し辛くはあるんだけど‥‥。
でも、体を動かすのは好きなので楽しいのも嘘ではない。
「その基本が出来ているからこんなにうまいってことなのかな? 私も一から素振りを始めるべきか‥‥」
本当は何回も部活に入っているからなんだけどね。
でも、素振りをするのはいいことだとは思うし、間違ってはないと思う。
私の場合は人よりも多くの時間テニスをしているので、あまりいいすぐうまくなるためのアドバイスは出来ないけど、長くやっていればいい結果になることを思い出しながら御姉様に話す。
御姉様は後輩から教えられたりするのが特に嫌ではないようで、笑顔で聞いてくれるので私としても楽しく話すことが出来る。
こうして、御姉様との距離は徐々にだがまた近付いていっているとは思う。
この調子で仲良くなって、なにか起こったときには出来るだけ側にいられるくらい親密になれればいいなと私は思った。
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「お姉ちゃん、初めは私もいきなり仲良くなったことに驚いて満足していましたが、改めて考えると今お姉ちゃんが行動しないと今の関係のままで終わってしまう可能性もあるわけで気は抜けないわけです」
そうだよね、部活中は話してもそれ以外では一切話さなければ、それはあまり意味がないことかもしれないもんね。
部活以外でもお話が出来るようにしないと‥‥。
「うん、まぁわかってるつもりではいるんだけど‥‥でも中々自分から行くのって難しいんだよね‥‥」
「まぁ、先輩を誘うのって中々勇気がいることですからね‥‥いや、別にお姉ちゃんのことを言っているわけではないですよ? 一般論ですからね?」
「うん、それはわかってる」
小乃羽ちゃんが誘うときに緊張とかそんなのなさそうだもんね。
「すぐにとはいいませんが、なにか考えておくのもいいかもしれませんね」
部活以外の場所でも仲良く‥‥か‥‥。
私に出来るだろうか‥‥。




