226 初日の終わり
その後、御姉様の家でトランプをして遊んだり、お話をしたり、久々に私にとって思い出に残るであろう楽しい時間だった。
もっといようとも思ったが、あまり長居しすぎても初日だし、これ以上は進展することはないと思ったし、私がもたないと思ったので、先に帰らせてもらうことになった。
それに小乃羽ちゃん達に報告もしたいしね。
「また来てね小乃羽ちゃん」
「また学校で、福林さん」
次もあると思うと何だか嬉しくなってくる。
この一日で御姉様の信頼をかちとっていたのなら嬉しいが、まだどうなのかわからないので、気は抜けない。
「また何時でも来ていいからね」
兄が私に対して笑顔を向けてきたことで、私は改めて兄が好きだったんだと実感する。
心臓の鼓動が少し速くなったのがわかった。
「し、失礼します」
これ以上この場にいたら顔も真っ赤になりそうだったので、私は送ってくれるという森田先輩と一緒に家を出た。
◆◇◆◇◆◇
森田先輩とは何か特定のことを話すということはなく、色んなことを話した。
兄についても話してくれたが、やはり森田先輩は兄とは親友なようで、その話をしているときはかなり楽しそうに話していた。
兄と御姉様の関係なんかも詳しく話してくれて、昔はあまり会話がなくて、通り魔がきっかけで仲良くなったようで、その辺りは私と変わらないようだ。
つまりは変わっていないことは変わっていないということだ。
全然違う世界だけど、都合よく悪い部分が変わっているなんてことはないと思っていないといけないと改めて認識できた。
「森田先輩、ここで大丈夫です。 ありがとうございました」
「そっか。 じゃあ、またね。 今度は皆で奈留ちゃんのご飯でも食べようね!」
それ、森田先輩が決めることではないのでは‥‥。
でも、皆で料理を食べるというのは何だか楽しそうなので是非とも機会があればご一緒したいところではあるけれど‥‥。
「はい、それでは」
そして私は小乃羽ちゃんとアイちゃんが待つ家に帰った。
◆◇◆◇◆◇
「まさか、そこまでいくとは‥‥お姉ちゃん、流石ですね!」
「いや、ほとんどまぐれで、私はなにもしてないんだけどね‥‥」
小乃羽ちゃんがキラキラした目で見てくるので、どうにかして私の功績ではないことを伝えようとはしているのだけど‥‥。
「いいえ、お姉ちゃんはそういうことをすんなりやってのける人ですよ」
「あんまり持ち上げないで‥‥」
何だか恥ずかしさでかなり辛い‥‥。
‥‥でも、期待されているのなら、それを裏切らないように頑張らないとね‥‥。




