222 近付く方法
やはりというかなんというか、一日目もその次の日も夕闇奈留になっている兄と仲良くなる以前に会うことがなかった。
正直、まだ焦る場面ではないとは思うが、それでも何か行動を起こさなければ、兄と二年間同じ学校に通っても接点がないまま時が過ぎていくことは目に見えていた。
しかし、上の学年とそもそも同じ空間にいることが珍しいような気がする。 あったとしても学校の行事でとか‥‥でも、流石にそんなの待ってられないよね‥‥。
そんなことを先生の話を流して聞きながら考えていると、前の席の女の子が振り返ってくる。
「小乃羽ちゃんはどうするの?」
と、小声で聞いてくる。
小乃羽ちゃんもちょくちょく話していたらしい女の子が前の席で、たまに話したりしているのだけど、流石に友人とはまだ言えないよねたぶん‥‥。
「どうするって?」
「部活動だよ。 もうそろそろ決めることになるでしょ? 私は何か特殊な部活があれば入りたいなぁと」
特殊って‥‥まぁ、人と違うことをしたいというのもわからないでもないけど‥‥。
でも、部活‥‥部活か‥‥‥‥あ!
「そうだ! 部活だっ!」
「ど、どうしたの急に‥‥!? あ、あと今授業中だから静かにね」
話しかけてきた人が授業中とかっていいますか‥‥。
しかし、まぁ授業中なのを忘れて普通に声を出してしまった私が悪いので周りに平謝りをし、改めて考える。
部活動は唯一先輩と関わるといってもいいんじゃないかな?
何で今の今まで出てこなかったんだろう‥‥。
でも、ひとつ問題があるとすれば、兄が入っている部活がわからないということだろうか‥‥。
まぁ、少し調べればわかることではあるとは思うけど‥‥。
そう思うと今の世界で兄がどんな部活動をしているのか気になる。
たぶん運動部だとは思うけど‥‥。
「今週中に部活動の体験があるみたいだから、今のうちにどことどこに行くとは決めておかないとね」
「体験‥‥か‥‥」
体験があるならそれほど慌てて調べる必要もないのかな‥‥?
‥‥いや、もしかしたら部活動に入ってない可能性だってあるわけで、一応は調べておくべきかもしれない。
私は家に帰り、アイちゃんたちにお願いして少し探ってもらうことになった。
その結果、すぐに兄の入っている部活動がわかった。
ソフトテニス部だそうで、一応は私も入っていた部活だ。
なので、そこそこは出来るスポーツでもある。
体験の時は下手を演じるべきだろうか‥‥いや、普通にやろう。
別に昔からやってたと言えば変じゃないだろうしね。




