221 初日の朝
「お姉ちゃん、今日からですね!」
「そう‥‥だね‥‥緊張してきたよ‥‥」
今日から何が始まるのかというと‥‥そう、学校である。
別に二回目の中学生なんだから緊張するとはおかしいと思われるかもしれないが、一回目とは状況や環境が違っているから、正直一度目よりも緊張しているかもしれない‥‥。
それに一度目には蕾ちゃんという友達がいたけど、今回はそんな友達はいない。
小乃羽ちゃんから誰々と話をよくしてるとかって話を聞いているけど、私にとっては全然話したことない人たちだからね‥‥。
「お姉ちゃんならすぐに馴染めますよ! でも、急に変わりすぎると変に思われるかもしれないので、初めは出来るだけ私に寄せてくださいね」
「う~ん、寄せる‥‥」
小乃羽ちゃんに寄せるのかぁ‥‥私にできるだろうか。
いや、やらなくちゃダメなんだよね。
小乃羽ちゃんは明るくて優しいイメージだから‥‥‥‥本当に私にできるだろうか?
『まぁ、アホになればいいのよ。 そしたら自然に似るわ』
「あ、アイちゃん」
いつの間にか後ろにいた。
「ちょっと! 私がアホで出来ているみたいに言わないでよね! あったとしても二割ぐらいなんだから!」
小乃羽ちゃん、二割って結構多くないですか?
それに小乃羽ちゃん、確か学校の成績とか普通によかったはずだよね?
『別に完全に似せることなんて出来ないんだから、意識しつつも自分の思った通りにすればいいのよ』
アイちゃん、緊張をほぐそうとしてくれているのだろうか‥‥。
「‥‥うん、ありがとうアイちゃん」
『何に感謝されてるのかわからないですね』
そういうとアイちゃんは何処かに消えてしまった。
「なんかアホだけ言って消えていきましたけど‥‥凄く納得いかない‥‥」
「あはは、まぁアイちゃんは蕾ちゃん基準なんじゃないかな?」
‥‥うん、きっとそうに違いない。
「師匠と比べたらそうですけどね‥‥でもあれは確実に性格面でいっているような感じが‥‥」
「あ、もうそろそろ時間だから行くね。 喧嘩はダメだよ?」
「はい‥‥いってらっしゃい、お姉ちゃん!」
そして私はようやくこの世界で行動を開始することになる。
うまくいけば兄とも関わっていくことになるとは思う。
この世界ではどれくらいの変化が起こっているのかわからないので、慎重にいくべきなのもしれない。
でも、もし今までの世界とそれほどの変化がないのなら、すぐにでも行動を起こすべきだ。
それにこの世界の兄も私になった兄も、どちらともはないという確証は私にはない。
‥‥‥‥ううん、今はまず仲良くなることだけを考えよう。




