220 仲良くなるためには
兄を見ていて私はどうするべきなのか一生懸命に考えていたが、小乃羽ちゃんの体でまずどうやって近づくべきなのか、そこから私はわからないでいた。
今まで妹として一緒にいたけれど、そんな関係ではなくなってしまったので、言ってしまえば赤の他人と言ってもいい。
妹ではない私なんて考えたことがなかったので関係の構築が全く想像できない。
『お姉ちゃん、どうかしました?』
『‥‥いや、小乃羽ちゃんは普段誰かと仲良くなるときって、どんな風に近づいたりする?』
『そーですね‥‥明るく元気にでしょうか‥‥でも意図して近づいたことなんてないので難しい質問ですね‥‥。 仲良くなるときなんていつも突然ですからね。 言ってしまえば運ですよ、運』
確かにそうかもしれない。
ほとんどの友人は学校で作るだろうけど、同じ学校で同じクラスで気の合う人間がいるか、そして仲良くなれるかは運のような気がする。
つまりは学年も違って、関わりなんて全くない私と兄が近づくことなんて出来ないということではないだろうか‥‥。
『無理矢理迫っても逆効果だろうしね‥‥』
『まぁ、でもなんとなくですけどお兄さんとお姉ちゃんなら大丈夫な気がしますけどね。 なんたって心は兄妹な訳ですし!』
『それあんまり説得力がないやつだけど‥‥でも、ありがとう小乃羽ちゃん』
『いえいえ、それでは次いきますか』
‥‥‥‥え、次?
◆◇◆◇◆◇
『さて、やってきました、師匠のところ!』
『いいの? 蕾ちゃんのところにいって‥‥戻る前に言ってなかったっけ? 会っちゃダメって‥‥』
『姿を消しているのでノーカウントですよ! でも、やっぱりというかなんというか、私たちの知っている師匠とは全然違いますね‥‥』
蕾ちゃんは蕾ちゃんだ。
だけど、周りに誰もいない。
小乃羽ちゃんも弟子にはならず、私も友人になっていなくて、アイちゃんも作られていない。
何だかそれがとても申し訳なくて‥‥今すぐ飛び出して行きたくなるような、そんな光景だった。
私のせいできっとこの世界の蕾ちゃんは‥‥。
『お姉ちゃん。 お姉ちゃんがなにかしたからというわけでもないですし、師匠も師匠でいい人ですから、きっとすぐに友人も出来ますよ。 だからそう自分を責めなくてもいいんですよ』
『そう‥‥だよね‥‥すぐにできるよね‥‥』
『はい、まぁきっと今は開発に時間を全部つぎこんでいるんですよ、きっと』
『あはは、確かに蕾ちゃんならありそうだね』
世界は違えど、蕾ちゃんはきっと変わらないと信じて‥‥。




