216 私が貴方で、貴方が‥‥
腕時計を使った私は今度こそ成功したのかを確認するため辺りを見渡してみる。
‥‥うん、腕時計を使った場所とは全然違う場所だ。
成功したみたいだね!
「‥‥でも、ここ何処?」
全く知らない室内に私は戸惑っていた。
そういえば、腕時計を使ったあとにいつも起こっていた頭の痛みが全くなく、すんなりと起きれたな‥‥。
‥‥‥‥あ、今私は小乃羽ちゃんだったんだ。
壁にかけてあった鏡を覗き込むと、私の知っている小乃羽ちゃんの顔があった。
やっぱり、小乃羽ちゃんになってるんだね‥‥。
でも、だから頭痛がなくてすんでいるのかもしれないな。
しかし、今回は以前までとは違ってかなり昔から始めるわけではないから、この世界がどうなっているのか、かなり気になるところではある。
「‥‥でも、小乃羽ちゃん達が‥‥って今は私も小乃羽ちゃんだけど‥‥来るまで待つしかないよね。 変なことしちゃダメだって言われてるしね」
偵察とかもダメだよね、たぶん‥‥。
でも、以前は妹だったから情報がすぐに入っていたけど、今は全く関係のない子な訳で、何かと大変になるかもしれないね。
◆◇◆◇◆◇
そして、段々と小乃羽ちゃんの体にも周りの環境にも慣れ始めた頃、遂にアイちゃんと小乃羽ちゃんがやってくるようだ。
すぐって言ってたけど、結構かかったね。
タイムマシンだからその時間に合わせてくると思ったんだけど‥‥。
『かなり時間ズレてたわね‥‥』
「行く場所は的確なんだけど、時間となるとどうしても大雑把になるんだよね‥‥。 っと、そんなことよりお会いたかったです! お姉ちゃん‥‥お姉ちゃん?」
私は驚きで声が出せないでいた。
『何だか小乃羽が二人いて変な感じね』
「そうだね~、でも何だかお姉ちゃんが入っているからかちょっと大人っぽく見えるよね」
『小乃羽は子供だもんね』
「何をー! これでも精神的にきちんとした成長が───」
二人のそんな会話もほとんど耳に入ってこないほど、私は気になることがあった。
「あの‥‥ひとつ聞いていい?」
「どうしました、お姉ちゃん?」
「えっとね‥‥あの‥‥本当に小乃羽ちゃん?」
「え、私は私ですよー! ま、まさか腕時計の影響で記憶に混乱が‥‥」
「いや、あの‥‥そうじゃなくてね‥‥」
私は言いたかったことを大声で言った。
「凄い大人の姿になってるけど、一体何があったの!?」
確かに小乃羽ちゃんではある。
小乃羽ちゃんではあるんだけど‥‥成長していらっしゃる!?
「あー‥‥その場のノリです」
「ノリ!?」
「あ、冗談です! 色々とやってたら時間がかなり過ぎたんですよ!」




