213 大丈夫です
「そもそも、私達でも出来るものなの？」
「それはもちろん、相性バッチリですからね。 まぁ、相性診断装置をそのまま信じたらとしたらですけど‥‥」
小乃羽ちゃんに言われ、そういえば高かったなということを思い出した。
てっきり兄妹だからとかそういうことを考えていたが、違うのかもしれないね‥‥。
「でも、やっぱりこんなに身近に相性がいい人がいるってことは、さっきの偶然って結構起こりそう‥‥」
「いえいえ、あの相性診断装置って結構厳しめなんですよ？ なので、こんなに条件の揃った人間は私ぐらいなんです」
確かに兄と小乃羽ちゃん以外の人は低めだったような気がする。
「‥‥でも、相性がよかったとしても私が小乃羽ちゃんの体を使うなんてあり得ないよ」
「でも、戻るってさっき決めたんじゃないんですか？」
「それはそうだけど、それは小乃羽ちゃんに迷惑をかけると思わなかったからで！」
「だから、迷惑だなんて思ってないですよ」
小乃羽ちゃん自身がそう言うってことは本当に‥‥いや、でもでも、こんなに小乃羽ちゃんの優しさに甘えるなんて、駄目だと私が思う。
私はどうにか言い訳を考えていた。
「‥‥あ、あと、私が小乃羽ちゃんなんて‥‥出来るわけないし‥‥」
そうだ、こんな私が小乃羽ちゃんの人生を変えてしまっていいわけがない。
「別にお姉ちゃんの好きにして大丈夫です。 それにこの世界同様、師匠の弟子になる必要もありません。 まぁ、出会ってしまったら何かあるかもしれませんから、出会わないようにはしてほしいですが‥‥」
まさか、大丈夫なんて言われるとは思っていなかった私は言葉を失う。
こんなに言われてしまったら、私としてはなにも言えることがない。
「‥‥本当にいいの？」
「はい。 一応アイちゃんには報告するべきだとは思いますけどね。 まぁ、それは私の方でやっておきますよ」
何から何まで小乃羽ちゃんに‥‥。
「‥‥いや、私が自分で言うよ。 それにやっぱりもう一回アイちゃんにはきちんと話さないと戻るべきではないと思うし」
今のままじゃ、ただ逃げただけのような気がする。
それに戻る決断を出来たのはアイちゃんが言ってくれたからだ。
「そうですか‥‥でも、私も付いていきますね！ 私のことでもありますから」
「‥‥そうだね、小乃羽ちゃんのことだもんね」
でも、小乃羽ちゃんのことが大切に思っているアイちゃんが、許してくれるのかということに若干の不安を覚えつつ、私はアイちゃんがいるであろう場所に小乃羽ちゃんと向かった。
