201 小乃羽ちゃんと話す
「‥‥んんぅ‥‥ん? あ‥‥お姉ちゃん! 起きたんですね!」
「う、うん‥‥」
笑顔で接してくれる小乃羽ちゃんに私はどう接していいのかわからず、戸惑ってしまう。
小乃羽ちゃんは私に対して怒ったりしていないのだろうか‥‥。
いや、怒ったりしていなかったとしても、私が裏切ったことには変わりないわけだし、小乃羽ちゃんの優しさにつけこむのは絶対に駄目だ。
「良かった! 見つけたときは本当に手遅れだと思っちゃいましたからね‥‥あ、でも一応聞いておいた方がいいかな。 奈留お姉ちゃん、どこか調子が悪いとか気持ちが悪いとかそういうことないですか?」
「それは大丈夫だよ‥‥でも、どうして‥‥」
「精神安定装置が正常に機能しているか不安だったんですよね。 成功したみたいで良かったです」
それって、蕾ちゃんが使っていた、あの‥‥。
でもあれは蕾ちゃん専用で私には使えないってなってなかったっけ‥‥。
「‥‥小乃羽ちゃんが改良したの?」
「はい、頑張りました! ‥‥と、言いたいところではありますが、正直機械の方はそれほど弄ってはいません。 ほとんど師匠が作った頃と構造も変わりません」
「‥‥え? でも‥‥」
それが使えないから、諦めたはずじゃ‥‥。
「師匠が使えてお姉ちゃんが使えなかった理由は、一回も腕時計を使っていない正常な時の記憶があったかの違いです。 なので、使えなかったのは精神安定装置を使うか使わないかというときにお姉ちゃんが既に腕時計を使ってしまっていたので無理だったんですよ」
そういえば、蕾ちゃんの子供の頃の記憶と一度だけお話ししたことがあったけど、あれなのかな‥‥。
「‥‥あれ? じゃあ結局、私が使えたのはなんでなの?」
小乃羽ちゃんの話なら、私には正常な時の記憶がないわけだから、私が使うのは結局不可能なんじゃ‥‥。
「お姉ちゃん、私達が今まで何をしていたのか忘れたんですか?」
‥‥‥‥あ、もしかして。
「過去に戻ったの?」
「その通りです! あと、お姉ちゃんは忘れているのかもしれませんが、一度記憶をコピーしたことがあったとアイちゃんから聞いて、それを消す前に戻ったんです。 なので無理にお姉ちゃんの記憶をコピーしたわけではないので、そこはかなり助かりました。 行動を変えるのは面倒ですからね」
言われてみれば確かに蕾ちゃんに言われてコピーしたことがあったような気がする。
「そうなんだ、それを使って‥‥」
でもひとつ疑問に思ったのは、その記憶ってどうやって持ってきたんだろうということだ。
腕時計に保存でも出来るのかな? 何だか出来そうではあるけど‥‥どうなんだろう。




