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転生して前世の俺の妹になりました  作者: ニャンネコ大尉
あったかもしれない、そんな世界で───
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193 薄れていく

 私は前回と同様にまた一人で戻ってきた。


 また戻ってこれたのはよかったが、限界だからなのか、戻ってからの記憶が曖昧だ。


 頭の痛みでいつの間にか気絶していたのはいつものことだけど、その痛みが止んだ後も、自分が何をやっているのかわからないような、自分ではない誰かが体を操っているのではないかというような‥‥自分の存在がどんどんと消えていくような感覚になっていた。

 いや、消えていくというのは正しくないかも‥‥。 変化しているだけなのだろうな。


 なので自分が先程まで何をしていたのかおぼろげにしか、わからないし、はっきりとしたことはわからない、




 今も、気付いたら兄に怒鳴っていた。


 何故怒鳴っていたのか、それはきっと些細なことなのだろう。

 でも今の私は少しのことでも難癖や悪態をついてお兄様と喧嘩になる。


 私としても正常な状態ならすぐに謝るべきなんだろうが、怒鳴っていることからわかるようにこの時は記憶が曖昧で、夢とかそんな風な感じに見えるのだ。

 なので私は当たり前のことを当たり前に言っているような感覚になっている。



 お兄様との関係は以前とはまた少し変化はしたが、仲がそれほど仲良くないのは前回と同じだ。

 前回は喋らないといった関係で、本当に一緒に住んではいるが、赤の他人のような感覚だったが、今は話すが喧嘩に発展するといった感じだろうか。



 喧嘩になるにつれて、私が兄を助けたいと思う気持ちがどんどんと薄れていっているような気がした。

 もはや別人とも言える兄をどうして私が助けなくてはいけないのだろうか、なんてことをだ。


 もしかしたらそんな気持ちがあるからこそ、私は兄に対して腹をたててしまうのかもしれない。


 でも、そんな気持ちを肯定してしまえば今まで何度も戻ってきたことが全て無意味になってしまい、それが嫌で私は兄を助けようとしているのかもしれない。



 別にすべてがそんな気持ちのわけではない。

 助けたいという気持ちは確かにまだ存在はしているのだ。


 どんな性格の兄でも私が好きだったお兄様の雰囲気は何処かある。

 料理が上手なところもそうだし、友達想いなところとか、あと勉強も‥‥探せば同じところはまだ沢山あるし、姿はあの頃のお兄様のまんまだ。


 そういうところを見つけて、この人は私が好きな人なんだと自分に言い聞かせて続けていくしかない。


 やめたところでもうすでに私には何も残っておらず、戻りたいなんて気持ちがあっても、戻る場所ももう私にはないのだから‥‥。

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