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転生して前世の俺の妹になりました  作者: ニャンネコ大尉
あったかもしれない、そんな世界で───
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191 少しの可能性

 お兄様と仲が悪くなったことで、お兄様の身の回りのことなどを聞いたりすることができなくなり、現在何がどうなっているのかなどが全くわからないようになってしまった。


 たまに家に来る森田もりた先輩との会話を盗み聞きすることでくらいしか情報を得られていない。


 その少ない情報から得られた最新の情報は、磨北まきたさんとお兄様が仲良くなっているという情報だ。

 色々と違うことが多いから、もしかしたらお兄様と磨北まきたさんの関係がガラッと変わって、付き合う以前に仲良くならなかったらどうしようかと思ったが、それはなかったようで少しホッとした‥‥。


 付き合っても付き合わなくても関係無いとわかった今、出来れば二人には幸せにお付き合いをしてほしい。

 だから、今の状態はとても順調に進んでいるんじゃないかと思う。



 磨北まきたさんのことは何となくわかったが、それ以外の情報は無いようなもので、アイちゃんのように影で隠れながら気付かれることなく情報を集めることは私には出来ないので、どうしても必要な情報が手に入らない。



 そして、そんな状態のまま私は中学校を卒業した。


 春休みに入り、そろそろ‥‥‥‥桜が咲くまでの日数が少なくなってきた。


 この頃には私は何もすることのできないことに対してイライラと不満を募らせていた。

 年単位で戻って、戻る前よりも仲良くなって私の話を信じてもらうということ自体が、初めから予想外の出来事のせいで何もできなくなってしまったからだ。


 だからって少しの可能性がある内は無駄に途中で戻ることは出来ないし‥‥でも、仲違いしているので、これ以上干渉することも出来ない。


 結果としてお兄様が死ぬということは変わっていないのではないかと思う‥‥。


 ‥‥でも、お兄様との関係が変わった今、お兄様が亡くなるのも変わっている可能性だってあるわけで‥‥。


 私はその少しの可能性にかけるしかなかった。





 ◆◆◆◆◆◇




「どこ行くの、お兄‥‥さん」


「どこだっていいだろ、べつに」


 朝、お兄様が玄関から出ていこうとしているところを見かけた私はとっさに声をかけた。

 お兄様はいつも通りの冷たい返事で、正直イラッとはしたが、これ以上私がなにか言うことで喧嘩になるのが嫌で、何も言わなかった。



 お兄様はそのまま出ていって、私はポツンと一人で玄関の扉を眺めながら立っていた。



 そういえば、もう桜が咲いた頃かな‥‥今回も駄目なのかな‥‥。


 この世界で失敗すれば次はどうしようかと、まだ可能性はあるはずなのに私はそんなことを考え始めるようになっていた。

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