190 自分と周りの変化
「どいてくれないか」
「ごめんなさい、お兄‥‥さん」
結果として私が中学三年生になったわけだが、元々の世界ならこの頃には既に仲良くなってかなり経っていて、楽しく過ごしていた訳だが、今となっては見る影もない。
どうしてこうなったんだろうか‥‥。
私が初めからお兄様のことが好きだったから? それとも私の行動が昔とは違うかったから?
わからない。 わからないけど、どうしてもたまに精神が不安定な時に言い争いになったりすることがあり、そのことも少しは関係しているかもしれない。
そして、今のように冷静になると、どうしてあんなこと言ってしまったんだと後悔する。
この世界に来るまではお兄様と言い争いなんてしたことなかったのにな‥‥。
私としても以前なら我慢できていたことが、ほとんど我慢せずにぶつけてしまうようになっていて、すぐに言い争いのようなことが起きてしまうことが問題なのかもしれないが‥‥。
あと、この世界に来てから私は、一度も蕾ちゃんに会っていない。
‥‥いや、正確には学校などでは会ってはいるが、友人になっていないので、学校で話したりするのももちろんのこと、家に行くことなどもない。
結果的に、アイちゃんや小乃羽ちゃんにも会っていない。
私のやったことはこの世界では関係が無いのかもしれないが、一度裏切ってしまった手前、何事もなく近付くなんて厚かましいこと、私には出来なかった。
二人を裏切ることはつまり蕾ちゃんを裏切ることと同じことであり、蕾ちゃんと友人になるなんて考えにはならなかった。
それにその前から蕾ちゃんは巻き込まないと私自身そう思っていたわけだから、初めから蕾ちゃんと友人にならない方が、きっと蕾ちゃんのためにもなるはずだ。
今のところ、蕾ちゃんは元気に学校に通っているし、心配するようなことにはなっていないようだし、やっぱりお兄様と私の関係以外にも色々と変化があるのかもしれない。
‥‥でも、やっぱり誰も頼れる人がいないのはかなり辛いものがある。
今この世界で、もし兄が死ぬことがなくなるとしたら、私は目的を達成したということになるのだろうか‥‥。
お兄様にはかわりないかもしれないが、関係としては悪い。
私はどちらにしてもひとりぼっちだ。
こんなことになる為に私は戻ってきたのだろうか‥‥。
お兄様が亡くなった世界が一番の地獄だと思っていたが、お兄様が生きている今も十分なほどに辛い。
私は十分に恵まれていたのかもしれないなと今更になって思った。




