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転生して前世の俺の妹になりました  作者: ニャンネコ大尉
あったかもしれない、そんな世界で───
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189 何度も見る夢

「どうして‥‥どう‥‥して‥‥」


 私は今の現状に、かなり困惑していた。


 昔に戻った私は仲良くなるきっかけでもあった、あの事件の時期に戻った。

 そして、その事件が起きて、そして以前と全く同じような展開になった‥‥はずだったのに‥‥。



 私とお兄様の関係は、戻る前とは似ても似つかない状況になっていた。

 お話しすることも、ご飯を一緒に食べることもなく‥‥何だか赤の他人のような‥‥。


 私から話そうとしたことは何度もあった。

 でも、どうしても話が続かない‥‥。



 あと、一度お兄様と呼んだとき、やめてくれと言われたことが衝撃だった。

 私にとっては当たり前の呼び方だったから‥‥。


 なので、私がお兄様を呼ぶときはお兄さんと呼ぶようになった。



 正直、私はあれだけ優しかったお兄様がこんなに変わるものなのかと衝撃的で、お兄様の中身が別人になったと言われても何ら不思議には思わないくらいだ。


 料理も作らず、勉強も戻る前と比べれば、天才と言われるほどに出来るわけでもない。


 私はこの兄を救うために戻ってきたのだろうか?



 ‥‥いや、私にとってはこの人は大好きなお兄様なんだ。

 だから、もし死の前兆のようなものがあれば全力で止めないと‥‥。




 兄を見ているとたまにムシャクシャする時がある。

 細かいことにも何か言いそうになり、慌てて口をつぐむ。


 腕時計のデメリットなのかもしれないがまだギリギリ耐えられている‥‥とは思う。

 自分自身変わっているか変わっていないのか、確認する術がないからだ。


 一人ということがどれだけ不便でどれだけ寂しいのか改めて実感していた‥‥。




 ◆◆◆◆◆◇




『‥‥‥‥したい』



 私は寝る度に同じ夢を見るようになった。

 何処からか聞こえてくる声も段々と何を言っているのか、わかるようになってきた。


『‥‥‥‥したい』


 そして、最後にはいつも同じ光景が見え、その度に私はベッドから飛び起きるように目覚める。


 私の精神はもう既にダメになっているのかもしれない。

 この夢を見るたびに私は怖い辛いといった感情から、何だか今凄く愉快な気持ちになるようになっていた。


 全てから解放されたようなそんな‥‥。


 そして、少し経つと頭が冷えたのか、元の私に戻る。



 正直、自分が怖い。

 どんどんと感情のコントロールが出来なくなっていることに。


 でももう誰にも相談することはできない。

 私は信頼してくれている人を裏切ってまでここまで来たんだから。


 私はもう後ろを振り返ることなど出来るわけもなく、ただ何も繋がっていないであろう道を真っ直ぐに進むしかなかった。

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