181 諦めてください
遅れまして申し訳ございません!
正直、私は行き詰まっていた。
未来を変えられる可能性があることで、私の力で出来ることはもうやりつくしたと言ってもいいぐらいには試してしまっていて、その全てを失敗していたからだ。
どう頑張っても正解にたどり着かず、もうそんなお兄様が生きている世界なんて存在しないのではないかとすら思えてきた。
誰かに助けを求めようにも、巻き込んでしまう危険性を考えるとどうしても出来なかった。
アイちゃんも小乃羽ちゃんも善意で一緒にいてくれるけど、それに甘んじることはできない。
私の問題なんだから、必要以上に手伝ってもらうのは違う気がしたのだ。
◆◆◆◆◇◆
『夕闇さん、やっぱりマスターに話した方がいいのではないでしょうか?』
「‥‥駄目だよ。 前にも言ったけど、蕾ちゃんには自分のために生きてほしいんだ」
『でも、そのままじゃ何も変わらないまま───』
「───わかってるよ!! だからこうして考えて‥‥‥‥ごめん、アイちゃんにあたるようなことじゃないのに‥‥」
怒鳴るようなことじゃないのに‥‥はぁ、気を付けないと‥‥。
『いえ、こちらとしてもすみません。 マスターのことを考えていただいているのに』
「ううん‥‥」
それにきっとそうするのは私のためなのだ。
これ以上、私のせいでなんていう罪悪感を増やしたくないからという‥‥。
『‥‥夕闇さん。 残酷なことを言うようですが、今回失敗した場合はもう過去に戻って陸さんを助けるのを諦めてもらえませんか?』
「え、いや‥‥でも‥‥」
『正直、これ以上何かして、陸さんが助かるという可能性はないに等しいと思うんです。 それと夕闇さん、もうあなたの身が持たないんです。 もうかなり自覚していと思いますが‥‥』
「でも、まだ何かあるはずで!」
『マスターでも色々と犠牲して、ようやく実現できたことです。 私には現状を見る限り夕闇さんに出来るとは思えません』
「そ、それは‥‥」
私は反論をすることができなかった。
『マスターに協力してもらい突破口を開ける可能性は少しですがあるかもしれませんが、マスターに協力を頼まないと夕闇さんはおっしゃっていますから、私としてはこれ以上進展のないことをするのはいけないと判断しました』
「でも、私はギリギリまでやるって誓って───」
『もう今がそのギリギリなんですよ、夕闇さん‥‥。 お願いですから、もうこれ以上、自分の命を粗末にしないでください』
アイちゃんにそんなことを言われるとは思っていなかった私は戸惑った。
お兄様を助けたい。 でも、ここまで手助けしてくれたアイちゃんに恩を仇で返すようなことはしたくない。
私‥‥私は‥‥‥‥




