179 何もできずに‥‥
更新遅れまして申し訳ありません!
『なるほど、デートでなくても桜は見に行くというわけですか』
「うん‥‥詳しく話を聞いてみると、磨北さんが見てみたいって言って、森田先輩がオススメの場所を教えたみたいなんだよね‥‥まぁ、結果的にデートの時と同じ流れで決まったみたい」
違う点はデートではないので森田先輩がいることだが、それがどう作用するのかだけど‥‥。
『夕闇さんはついてはいかないんですか? いかないのでしたら以前のように私がついていきますが‥‥』
「‥‥お願いしてもいいかな?」
『はい、了解です』
私がいっても悪い結果になるだけだろうと、以前の失敗からアイちゃんにお願いした。
◆◆◆◇◆◇
「じゃあ、奈留。 行ってくる」
あっという間に桜を見に行くという日になり、私は玄関を出ていくお兄様を見つめていた。
もう何度やったかわからないこのやり取り。
デートの時もこんな感じで、何も起こらないような感じだったのにな‥‥。
「お、お兄様!」
私はいってほしくないと思ったのか、呼び止めてしまった。
「ん? どうかしたか?」
私も無意識で言ってしまったので、何を言えばいいのかわからなくなり、訳のわからないことを口走ってしまった。
「もし‥‥何があったとしても自分の命を大切にしてくれますか?」
「え、どうした急に」
「‥‥‥‥あ、いや違うんです! ごめんなさい変なこと言っちゃって」
お兄様にとっては私が急に意味のわからないことを言ったわけで‥‥何だか凄く恥ずかしい。
「‥‥まぁ、気をつけてってことか?」
「そ、そうです! 気を付けていってらっしゃいです! お兄様」
「あぁ、いってきます」
今さら何か言ったところで、結局、起こることは起こるだろうけど、それでも‥‥。
私はお兄様が出ていった後も、玄関を扉を少しの間、眺めていた。
◆◆◆◇◆◇
その後、蕾ちゃんの家に向かった私は、アイちゃんに現状を報告してもらいながら、じっとリビングで大人しくしていた。
『バスに乗ってからかなり経ってますね。 でもこの森田さん、かなり元気でずっと喋ってます、底無しの元気ですね』
「アイちゃん、今それ報告する必要なくない?」
『小乃羽。 いや、別に雑談というか‥‥って、あなたは仕事してなさいよ』
「はーい」
二人の会話に少し重たかった空気も軽くなったような気もして、何だか気を使わせてしまっているかなと、かなり反省した。
そして、そこからまた少し時間が空いた後、アイちゃんからの新たな報告があった。
『夕闇さん、今回もダメでした』
その言葉で私はお兄様が亡くなったことを察した。




