177 探りをいれると‥‥
蕾ちゃんが意識不明になったあとは、前回よりは蕾ちゃんの家にいる時間は少なくなったかもしれないが、基本的には毎日行くようにしていた。
でも、勉強を教えてもらったり、お兄様との時間も今回はきちんととったつもりだ。
だからなのか前回にあった、磨北さんが家に来るということもなく、思ったとおりに進展が遅れていて、かなりうまくいっているんじゃないかと思う。
もしかしたら、まだ付き合う可能性はあるかもしれないから気は抜けないけどね。
でも、やっぱりこうなってくると、前回は私が蕾ちゃんに付きっきりだったから、お付き合いが早まったとかなのかな‥‥。
別に後悔とかはないし、私にとっては蕾ちゃんも大切だから付き添わないということは絶対にないんだけどね。
そして、そろそろ季節は桜の咲く頃になろうとしていた。
◆◆◆◇◆◇
「お兄様、今日も勉強を教えていただいでもいいですか?」
「あぁ、いいぞ。 じゃあ、リビングで待っててくれ」
「はい!」
私は今日もお兄様に勉強を教えてもらっていた。
今は過去の苦手だったところの復習のようなことをしていて、正直それが出来るようになったら、かなりあとに習う勉強を教えてもらうことになるが‥‥まぁ、桜の散る頃までは大丈夫だろう。
そして、勉強の休憩の最中に何となくだが、磨北さんとの現状を聞きたくなった私は探りをいれることにした。
「そういえば、今も磨北さんに勉強を教えていらっしゃるんですか?」
「あぁ、まぁな。 でも、奈留を教えてるから初めよりは時間も多くはないが‥‥」
やっぱり、少なくなってるんだ‥‥。
「へぇ‥‥。 でも、本当にお兄様が磨北さんと仲良くなるなんて思いませんでしたよ。 もしかして、お付き合いとか‥‥」
「そんなんじゃないよ。 ほら、それよりそろそろ勉強再開するぞ」
「はーい」
う~ん、やっぱりお付き合いとかそういう段階には至ってないみたいだね。
一回目の時はお付き合いは既にこの時期には始まっていたし、その頃には桜の話も出てたし、それがないってことは、ちゃんと遅れているということかな。
お付き合い自体がなくなるようなことにならなければいいんだけど‥‥きっと遅れてるだけだよね?
まぁ、桜が散った頃に亡くなるのを回避できて、何も進展がないようなら、お二人が付き合うように頑張ろう。
そして、私は勉強を再開してお兄様に教えてもらっていたのだが、お兄様がふと思い出したような顔をした。
「あ‥‥そうだ、奈留。 来週に広葉と磨北と三人で花見をしようってことになったんだが、奈留も来るか?」
「えっ‥‥」
‥‥‥‥違う‥‥よね?




