176 また明日も‥‥
蕾ちゃんが体調が悪いと言っていた一週間後、蕾ちゃんは倒れて意識不明になった。
アイちゃんは関係ないと言っていたけど、やっぱり何かしら関係してたんじゃないかと考えてしまう。
一回目と違って理由を知っているので困惑はなく、純粋に悲しみを感じることになった。
アイちゃんはいつも以上に口数が少なくなり、わかりづらいが落ち込んでいるようだったが、小乃羽ちゃんはいつもより熱心にお仕事をしていた。
小乃羽ちゃんなら泣き崩れていそうだと思ったが、一度目で既になっていたからだろうか、何だか小乃羽ちゃんが強くなったような気がする。
でも、きっと心のなかでは悲しいから、仕事をして考えないようにしているのかもしれないなぁ‥‥。
『夕闇さん、今日はもう帰っていただいてもいいですよ』
「え、でも‥‥」
『今日は発明品関係のことを片付けておきたいので大丈夫です。 それとは別のことなんですが‥‥以前の時間ではマスターのことを気にかけてくださっていたので陸さんの方が疎かになっていたと思うんです。 だから、マスターのことは気にせず、夕闇さんは夕闇さんにしか出来ないことをしてください』
蕾ちゃんの家に通っていたことで、お兄様と話すことも一緒にいることも少なくなって、それでお兄さんが磨北さんと過ごす時間がたぶんだけど増えたんだろう。
‥‥それでもさ。
「‥‥でも、私明日も来るよ。 来なきゃ、色々と後悔しそうだから‥‥」
『そう‥‥ですか。 では、また明日に』
「うん、また‥‥」
アイちゃんにそう言い、私はエレベーターを降り、日が傾き始めた空を眺めながら、ゆっくりと自宅へと歩きだした。
◆◆◆◇◆◇
『あとのことは任せたよ‥‥か。 本当にたまに無理難題を言ってくるんですから、マスターは‥‥』
私はベッドの側で目を閉じているマスターを見ながら言う。
すると、いつの間にか小乃羽が寝室にいることに気づく。
「それだけ信頼されてるってことでしょ。 私なんて簡単な仕事しかさせてもらえないんだし」
『別に小乃羽のやってる仕事だってそこそこ難しいのだけどね。 ‥‥でもまぁ、そうなのかな』
「うん、そうじゃないと倒れる直前の二回ともアイちゃんに任せたなんて言わないだろうからね」
それでも、流石にマスターのいなくなったあとを埋めるには私では力不足だと、自分が一番わかっている。
でも、自分が出来る分には頑張りたい。
『何事もなく、夕闇さんが目的を成功させるために私達も全力で頑張らないとね』
「そうだね。 お姉ちゃんの手助けが出来るように頑張ろう!」
それがきっとマスターの望んだことなんでしょうから、私はやり遂げてみせます。




